育児と仕事
筆者の同期である女性社員Aが、ホームセンターに勤めていた時のこと。Aには、2歳の娘がいます。お喋りも上手で、自分の意思もはっきりと言えるような元気な女の子です。少し前にイヤイヤ期が始まったばかり。その時の気分によって言うことが変わるので、Aは振り回されることもありました。ですが、それも「成長の一環」として、日々子育てに奮闘していました。
休憩時間にお買い物
Aの働くホームセンターでは、退勤後だけでなく、お昼の休憩時間や夕方の休憩時間に私服に着替えて、買い物をすることが可能でした。Aは退勤後、すぐに保育園に迎えに行くので、急いで昼食を終えて、その後に育児用品を買うことが多々ありました。
育児に難癖をつけるお局
そんなある日、Aは昼食を終えた後に私服に着替え、ベビー用品売り場に向かいます。昼休みのうちに日用品を購入するためです。ミルク缶を買い物カゴに入れようとした時、後ろから年配のパートスタッフBが現れました。
すると、Bはミルク缶を手にもつAに向かって「Aさんの子供ってもう2歳よね? まだミルク飲んでるの!? 少しヤバいんじゃない? ミルクに頼らず、食事で栄養を摂るべきでしょ。我が子が可愛いからって甘やかさないで、そろそろ焦って卒業させないと!」とAに向かって言うのでした。
Bは今までも、たびたびAの育児を批判してくる人でした。内心「またか……」と思いつつも、確かに、Aの周りのママ友はミルクを卒業させた人が多く、Aも少しそれを気にしていました。咄嗟のことにAは何も言い返すことができませんでした。
すると、そこにミルクメーカーの営業の人がやってきました。店舗にたびたび様子を見に来ていたので、お互いに顔見知りです。
そしてAに向かって、「お子さん2歳なんですね。2歳ってイヤイヤ期で大変でしょう? 中には偏食が目立つ子もいるし! そういうのはママからすると心配になっちゃいますよね。でも、そういう時はミルクに頼ればいいんです! だって、ほら、ミルク缶にも3歳頃までって書いてありますよ!」と優しい言葉をかけてくれるのでした。
そして続けて、「そもそもイヤイヤ期で嫌がっている所、無理矢理ご飯を食べさせるほうが問題な気がしますよ! 食事は子供にとって楽しいものでないと!」と言うのでした。
それを聞いたAは心が軽くなるのを感じました。
一方のBは、メーカーの営業さん相手にはさすがに何も言い返せず、その場から気まずそうに去るのでした。
育児は自分のペースで
Aは娘のイヤイヤ期からくる偏食に悩んでいましたが、メーカーの人の言葉を聞いて「心配することはないし、人それぞれなんだな」と思えるようになったそうです。そしてその日以降、Bが嫌味を言ってくることはなくなりました。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2025年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:佐野陽菜里
大学卒業後、企業で管理職として活躍するも、妊娠出産を機に退職。育児しつつ、「自分の言葉で文章を書いて、発信したい」とライターに転身。接客業や恋愛のテーマを得意とし、日々インタビューをして情報を収集。