ミラノの街中がアートとデザインに染まり、日常のはずなのに「非日常」を感じられる特別な1週間、ミラノデザインウィーク。今年は現地スタッフとして、街の中心地で行われるFuorisalone(フオーリサローネ)へ。数ある展示の中でも、ファッションブランドと日本企業にフォーカスしたアートの旅をお届けします。そんな旅のはじまりは、電車に乗って向かったミラノ中央駅から。

「ミラノデザインウィーク」って?

毎年春にミラノで開催される、世界最大級のデザインの祭典です。郊外で行われる家具の祭典「サローネ(Salone del Mobile Milano)」と、街中で自由に行われる「フオーリサローネ(Fuorisalone)」。この2つを合わせて「ミラノデザインウィーク」と呼びます。サローネは、ビジネス向けの展示会に対して、フオーリサローネは、ミラノの街全体が舞台。ギャラリー、ショップなど、あちこちでインスタレーションが展開され、誰でも気軽に参加して、アートと出会えるのが魅力です。

1.「PRADAのデザインに出会う、ミラノ中央駅」

ミラノデザインウィーク初日、朝10時。
電車に揺られて降り立ったのはミラノ中央駅。いつもなら足早に通り過ぎるこの場所に、今日はちょっとした異変が。到着したホームの隣に、なんとも可愛らしい電車が停まっていて、思わず目を奪われました。

画像: PRADA|In Transit

PRADA|In Transit

スタッフに声をかけてみると、プラダが手がけるシンポジウム「Prada Frames」の一環だと判明。ジオ・ポンティとジュリオ・ミノレッティが設計した列車「アルレッキーノ」の車内で、4月6〜8日にセッションが行われたとのこと。今日、4月8日はデザインウィーク初日。すでに予約は満員で、残念ながら中には入れず。

それにしても、ふっとアートやデザインに出会えるのが、このイベントならではの魅力ですよね。

2.「ISSEY MIYAKEで感じた、光になる布」

そして、まず最初に向かったのは、ラグジュアリーブランドがショップを連ねるモンテナポレオーネ地区。通りの一角にあるISSEY MIYAKEのミラノ旗艦店では、「A-POC ABLE ISSEY MIYAKE」がスイスのデザインスタジオ「atelier oï(アトリエ・オイ)」と手がけた新プロジェクトのインスタレーションが公開されていました。

画像1: A-POC ABLE ISSEY MIYAKE|TYPE-XIII Atelier Oï project

A-POC ABLE ISSEY MIYAKE|TYPE-XIII Atelier Oï project

1Fに展示されていたのは「O Series」。花の繊細さとしなやかさにインスパイアされた、ポータブル照明シリーズ。A-POC ABLE ISSEY MIYAKE×スイスのデザインスタジオ「atelier oï」×日本の照明ブランド「Ambientec」によるトリプルコラボだそう。やわらかな光を生むのは、エレガントな楕円形のワイヤーフレームと、ブランド独自の「Steam Stretch」素材。布に熱を加えて立体的なプリーツを生み出す技術で、光と影が繊細に浮かび上がって、思わずうっとり♡

画像2: A-POC ABLE ISSEY MIYAKE|TYPE-XIII Atelier Oï project

A-POC ABLE ISSEY MIYAKE|TYPE-XIII Atelier Oï project

階段を上がった1.5Fに展示されていたのは「A Series」。チューブ状のニットにシェードの形を編み込み、ワイヤーを通すだけで立体的に変化する、A-POCらしさ満点の照明。カットする位置によってサイズ調整もできる、遊び心のあるシリーズ。

ファッションから照明へ。布の可能性って、まだまだあるんだなぁと感じさせてくれる展示。光になっても、ISSEY MIYAKEの「ものづくり」の芯は、ちゃんとそこにありました。

画像: Pinacoteca di Brera|Library of Light

Pinacoteca di Brera|Library of Light

続いて、ブレラ美術館の中庭に出現したのは、自然とアートが融合したかのような円形の「図書館」。イギリスのアーティスト、Es Devlinによるインスタレーションで、2000冊以上の本と光が織りなす幻想的な空間です。しかもこれ、床がゆっくり回転してるんです。昼は太陽の光を反射し、夜は美しい影を作り出す。階段では、みんな座っておしゃべり。アートの中で過ごす自然な感覚がやっぱりミラノっぽい。

3.「7組のアーティストが手がけるGUCCIのバンブー・アート」

そして、長蛇の列ができていたのがGUCCIのエキシビション「Bamboo Encounters」。会場は、ミラノ中心部にある16世紀の回廊。歴史的な空間には、日本人にも馴染み深い「竹」をテーマにした、世界各国のアーティスト7組の作品が並んでいました。

画像1: GUCCI|Bamboo Encounters

GUCCI|Bamboo Encounters

中でも、印象的だったのが、パレスチナ出身の建築家でアーティスト、研究者でもあるディマ・スロウジの「Hybrid Exhalations」。竹のカゴに手吹きガラスを組み合わせた繊細な作品は、どれも上品で、乙女心をくすぐる可愛さがあふれていました。硬さと柔らかさ、静と動が混ざり合うような、不思議な余韻を残す作品でした。

画像2: GUCCI|Bamboo Encounters

GUCCI|Bamboo Encounters

オランダのデザイン集団Kite Clubが発表した「Thank you, Bamboo」は、ナイロンやプラスチックなどを組み合わせた、なんともモダンな「凧」。カラフルでポップな雰囲気は、幼少期に戻ったかのようなワクワク感を与えてくれる、遊び心たっぷりな作品でした。

画像3: GUCCI|Bamboo Encounters

GUCCI|Bamboo Encounters

そして最後は、スウェーデン系チリ人アーティスト、アントン・アルヴァレスの巨大な彫刻。バンブーの自然なフォルムを活かしつつ、まるで水が流れるような有機的な形が、静かな力強さを感じさせる作品。

200以上のブランドが出展し、街を歩いているだけでインスタレーションやアートに遭遇できる本イベント。つい時間を忘れて会場から会場へとハシゴしてしまっていたので、ここで遅めのランチ。

レストランはどこも満席だし、サクッと済ませたかったので、手軽に食べられるパニーノを。私がやってきたのは、ブレラにある1971年創業の「ROSSI&GRASSI」。

画像1: 3.「7組のアーティストが手がけるGUCCIのバンブー・アート」

パニーノの具材はカスタマイズできるので、私はパンチェッタをチョイス。値段は€6と、ミラノの中心地というのにリーズナブルなお値段。この後、アランチーノ(€4)も頂きました。

画像2: 3.「7組のアーティストが手がけるGUCCIのバンブー・アート」

腹ごしらえが終わったところで、LOEWEの会場に着いたのですが、なんと1時間以上も待つであろう長蛇の列。今日のところは諦めて、Marimekkoへ向かうことに。

4.「待ち時間さえ可愛い♡ Marimekkoで夢のベッドタイム」

画像: 4.「待ち時間さえ可愛い♡ Marimekkoで夢のベッドタイム」

最後に向かったのは、フィンランド発の人気ブランド、Marimekkoのインスタレーション。かなりの行列にびっくりしつつ、並んでいる間にスタッフさんがキャンディを配ってくれるという、なんともMarimekkoらしい優しさにほっこり。

画像1: Marimekko|All the Things We Do in Bed

Marimekko|All the Things We Do in Bed

ようやく足を踏み入れた空間は、まるで夢の中。ベッドを主役にした没入型のインスタレーションで、テーマは「All the Things We Do in Bed」。

ベッドで過ごす時間が大好きな私にとっても「ここでコーヒー飲もうかな」「友達に電話しちゃおう!」「ネイルするのもいいね!」なんて、妄想が止まらない(笑)。

画像2: Marimekko|All the Things We Do in Bed

Marimekko|All the Things We Do in Bed

NYを拠点に活動するシェフでフードアーティスト、ライラ・ゴハールとのコラボによるカプセルコレクションも登場して、9月発売予定のパジャマに心を奪われちゃいました♡

画像3: Marimekko|All the Things We Do in Bed

Marimekko|All the Things We Do in Bed

そして、ふかふかのベッドで雑誌を読みながらくつろいでいたら、スタッフさんが写真をパシャリ。
夢のベッドタイム、しっかり思い出に刻まれました♡

こうして、ふわふわと夢の中にいるような気分のまま、ミラノデザインウィーク1日目が終了です。

Photographer & Senior Writer:H_aco

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