歳を重ねるほどに着こなせる
多国籍なヴィンテージファッション
裏原宿の古いマンションの一室にあるリヤドヴィンテージ。オーナーの竹村さんが買い付けから接客まですべてを担う店です。店内には、アメリカを中心に、中南米、アジアなど世界中からから買い付けた商品がびっしりと並んでいます。ビビッドでプリミティブでポップでエキゾチック。それぞれ鮮烈な個性を放つけれど、新品にはないデザイン性に大人のファン層が広がっています。
古着好きの少女だった竹村さんは中学2年生の頃から「自分でお店をやりたい」と決めていた、と話します。ファッション専門学校を卒業後、渡英。何とかこの道に入ろうと、最初はロンドンの有名ヴィンテージショップで店員ではなく、“スリの見張り役”から経歴をスタートしたとか。ロンドンにいる間はヨーロッパの蚤の市巡りをしたり、帰国後は老舗ヴィンテージ店の正規店員として経験を重ね、自分の店のオープンにこぎつけました。
「店のコンセプトは、ブラック(黒人)ファッションとなっているNYのアッパーなマダムスタイル。そこに赤道付近の国の民族的テイストをMIXしたスタイル。それが自分のヴィンテージ遍歴の先にたどり着いた私の一番提案したいスタイルなんです。アメリカの60〜90年代のマダムたちをイメージしています。大ぶりのアクセサリーをたくさん着けたり、柄に柄を重ねていくとか、とにかく好きなものを思い切り身にまとっていくスタイルです」
顧客の大半が40代以上と、まさに大人のためのヴィンテージショップ。お店のInstagramを見ていると、年齢を重ねることで似合う服に思えて来るようなラインナップです。
コロナ禍をきっかけに始めたアポイント制で
丁寧なパーソナライズが好評に
リヤドヴィンテージは立地もテイストも、買い物途中でふらりと立ち寄るという人は少ない店。若い頃からずっと古着が好きな人、人と被りたくないファッション通な人、コンサバなスタイルに飽きてしまった人etc.…常連のテイストは様々ですが、みんな自分に刺さる刺激的なものを求めて、あえてここにやって来るそうです。そんなヴィンテージ好きの大人世代に、昨年の4月から始めたリモート来店システムでいま全国にファンを広げています。コロナ禍以降、日曜以外の営業日はアポイント制にしていて、アポイントを取ればInstagramでのビデオ通話で接客・買い物できるシステムです。
「2017年にお店を始めたのですが、その頃はアポなしでも来れて、毎日9時間オープンしていたんです。だけどコロナ禍になって緊急事態宣言でWEBで売るしか方法がなくなってしまった。だから完全予約制に切り替えて、SNS用などの商品の撮影に時間を割くことしたんです。
もともと40、50代の顧客が結構多かったんですけど、9時間オープンの頃は店内で他にお客様がいると気を遣ってすぐに帰ってしまわれることがあったんです。そんなお客様ほど、予約制にしたら誰よりもこだわり屋さんで(笑)、2〜3時間ほどゆっくりご覧になって、コーディネート買いをされたいというお客様だった、なんてケースが結構ありました。いいものをかっこよく着たいという思いを持つ方が多い大人世代には予約制でしっかり時間を取るスタイルがよかったみたいで。一人一人のお悩みやコンプレックスにしっかり向き合いながらマッチしたアイテムを提案できるようになったし、お客様の満足度もすごく上がるんですよね。実際、周りの方から褒められたという声がけが増えました。」
美容室やネイルサロンの予約は当たり前ですが、予約制のヴィンテージショップはまだまだ珍しいもの。歳を重ねるにつれ、買い物に割ける時間が限られる代わりに金銭的な余裕があるので一度の来店で複数買いをするけれど、つい無難にまとまってしまう、なんて人も多いはずです。そんなとき冒険するきっかけをくれるのが、このお店と竹村さんかもしれません。
「リモート来店を始めてから『(新品の)ブランドですすめられるままに買った服の着方がわからない、教わって買ってない』というお客様がいらっしゃったんです。ビデオ通話でクローゼットを映しながら、1枚1枚ヴィンテージとの組み合わせ方を提案して、今はすごくかっこよく着こなしてらっしゃいます。1人のお客様に長く関わることで過去のお買い物リストを頭の中にインプットできるので、前に購入されたものやお持ちのアイテムを踏まえて提案できるのもいい点ですよね。色の好みやピアス派かイヤリング派か、とか、細かな情報もすべて頭の中に入っています(笑)。買い付けの時点で『これはあの方がお好きだな』とお顔が浮かぶんです」
盛って盛って、楽しくなって
リヤド式大人のヴィンテージスタイル
リヤドヴィンテージが提案する大人のヴィンテージスタイルはどんなもの??――ということで、論より証拠。竹村さん着こなしで、今冬のおススメコーディネート&アイテムをご紹介します。
タイガーコート×キャットニット猫派におすすめの遊びが効いたコーデ
虎柄風のフェイクファーコートと大胆なハチワレ猫デザインのニット。猫科で揃えるキュートな遊び心が素敵。ラフな雰囲気だけど鮮やかなグリーンのパンツにスカーフやスエードのパンプスなど、小物でレディライクなエッセンスを。
メガネも変形キャットアイフレームとぬかりない。メガネと大ぶり♡ピアスでダブルの小顔効果も。
リングとバッグにも♡を効かせて。そしてさらなる猫、ユーモラスな表情の豹リングがキラリと光る。モチーフを盛る際は、ある程度統一感があると洗練して見えます。
ブラックを軸に、華やかに魅せる
ダイアン・フレイスのワンピース
【ダイアン・フレイス】のセットアップは、動物と花が散りばめられたオリエンタルでキュートなテキスタイルが楽しい。コートやニットなどは黒で抑えめにして、柄とアクセサリーを活かすスタイリングは、トライしやすいかも。
シックなアウターには、ボリューミーなバングルの重ね付けで、手元に華やかさを。柄の色とリンクさせると多色使いでもまとまりアリ。
コーディネートのシルエットにボリューム感があるのでヘアはスカーフを巻いてコンパクトに。その分、大ぶりのピアスでアクセントをオン。絶妙な足し引きのバランス感覚。
個性的なデザインこそ大人の楽しみ
唯一無二のマイスタイルを追求して
進化型ジョッキースタイルといった雰囲気の、エッジの効いたスタイリング。配色やシルエットが個性的なジャケットを主役に、スカーフやパンツのブーツインでクラシカルにスタイリングして、エッジィなアイテムを際立たせています。
飛行機が地球を旋回している壮大なデザイン。ジャケットのインパクトに負けない存在感が必要!
キャットアイフレームにウエーブ上のツル。メガネもパンチの効いたものを合わせて。
「アニマルモチーフが好き」と話す竹村さん。フクロウのブローチをアクセントに添えて。
デザインジャケットは別のジャケットをリメイクしたもの。ショルダーの切り替え部分にポケットが。立体的な裁断と縫製で、動くたびにシルエットの印象が変わる。
PICK UP! VINTAGE ITEM
他にも竹村さん一押しのビンテージアイテムがずらり。
これほど発色のいい贅沢なミックスカラーのファーコートは、ヴィンテージならでは。今後生産されることはものだからこそ、大切に受け継いでいくマインドも重要。
牧歌的な羊モチーフだけど、抑えた配色でモダンな印象。トレンドのグラフィカルなニットはヴィンテージなら自分だけのものが見つかります。
1970年代から90年代にかけてアメリカ国内生産のみにこだわり続けた【ジェーン・マーク】のワンピース。アーティーな柄とパイピング使いがブランドらしい。