【COORDiSNAPライターは見た】女性メディアライターの実録記ー本記事は当メディアの読者の声及びライター体験を元にした実録記です。女性のライフスタイルのリアルをお届けします。
令和の今も存在する「嫁いびり」。つわりで体調絶不調の中、目を開けてみると義母が着付けてくれた着物は「左前」。そしてそれを冷ややかな目で見る義親戚一同がいて……今回は私のお客様のエピソードをご紹介します。

名家の結婚式

私の義母は、茶道の先生。当然ながら着付けも達者で、義実家は地元でも知られた名家です。ある日、義妹の結婚式が開かれることになり、私たち一家も参列することに。

当時の私は第二子を妊娠中で、強烈な眠気づわりの真っただ中。できれば楽なドレスで出席したいと考えていました。ところが義母は「親族なのだから絶対着物で。ドレスなんてありえない」と譲りません。結局、義母が自ら着付けとヘアセットを担当することになりました。

当日、私は眠気に勝てず、支度中もつい、うとうと。気が付けば準備は終わり、急かされるように親族控室へ向かったのです。

冷たい視線の矛先

ところが部屋へ入った瞬間、親族たちの冷たい視線が一斉に私に刺さります。寝ぼけていた私は「よだれでも垂れてる?」と慌てて口元を押さえましたが、もちろんそんな失態はなし。

不思議に思っていると、親族の一人が声を荒らげました。「なんで死に衣装なんだ!」と。意味が分からず立ち尽くす私。すると義母が大げさにため息をつきながら、「だから自分で着付けなんてできないと言ったでしょう! 左前になってるじゃない!」と叫んだのです。

さらに髪には大きな白い花飾り。私は、ようやく義母による罠にはめられたと気づきました。義母は私に恥をかかせるためにわざと、左前で着付けをし、大きな白い花飾りをつけたのです。

息子の一言

親族たちは「世間知らず」「恥さらし」「お里が知れる」と、私への陰口を始めました。つわりでそれどころではなかったとはいえ、幼い長男の前で悪く言われるのは気分の良いものではありません。そんな中、4歳の長男が「ひだりまえってなに?」と義母へ素朴な質問を投げかけます。

義母は得意げに「亡くなった人の着物の着せ方よ」と説明しました。「死ぬってこと?」と確認する長男。義母がうなずくと、息子は目を輝かせて言ったのです。「じゃあママは、死ぬほど綺麗ってことだね!」と。

その瞬間、義母の表情が崩れました。なぜか突然、ぽろぽろと涙をこぼし始めたのです。

受け継がない贈り物

義母は私を着替え室へ連れていき、泣きながら謝罪しました。落ち着いてから聞かされたのは意外な過去。かつて義母自身も、結婚式で義母から左前に着付けられ、恥をかかされた経験があったそうです。そしてその時、「おかあさん、死ぬほど綺麗だもんね!」と救ってくれたのが、幼い頃の息子、つまり私の夫だったと。

自分が受けた嫁いびりを繰り返してしまったと深く反省する義母。私は「気にしないでください。でもお腹が苦しいのでドレスでもいいですか?」とお願いすると、義母は即座に了承してくれました。
さらに「〇〇(私)さんは、こんな嫁いびりしちゃだめよ」と言う義母に、私は笑顔でこう返しました。「私、着付けできないので大丈夫ですよ!」と。

義母の最大の好物であり最強の弱点。それは間違いなく孫なのでしょう。嫌な風習は受け継がず断ち切ること。それこそが未来へ残す、本当の贈り物なのかもしれません。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多様な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。

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