愛おしい娘の成長
私には1歳になる娘がいます。初めての子どもということもあり、その一挙手一投足がかわいくてたまりません。笑顔も泣き顔も、どれも今しか見られない瞬間。私はことあるごとに写真を撮っていました。
そんな私に対し、先輩ママ友のAはいつも同じことを言います。「写真ばっかりじゃなくて、自分の目で我が子を見てあげなよ」と。
確かに言いたいことは分かります。私自身、スマホ越しではなく直接娘と向き合う時間を大切にしたい気持ちはあります。ただ、写真もまた大切な思い出。そのため毎回苦笑いしながら聞き流していました。
ママ友ランチ会
ある祝日。ママ友たちと子どもたちを連れてランチへ出掛けました。その日が娘の誕生日だったこともあり、私は料理や娘の様子を何枚か撮影していたのです。
するといつものように「スマホで撮影ばっかしてないでさ、我が子の瞬間を見届けなよ」とA。聞き慣れた言葉だったので、私は「そうだよね、ごめんね」と素直に返し、スマホをポケットへ。
ところが、その態度がAの勢いを増長させてしまったのです。
我が子の一言
私が素直に謝ると、Aは気を良くしたのか、さらに言葉を重ねてきました。「そうだよ! いっつもいっつもスマホ触ってばっかだし、あつあつの料理もドリンクも冷めちゃうよ?」「そんなに写真撮るのなんて一人目だけだから!」「撮っても見返す暇なんてないし!」「そんな時間があるなら寝たら? クマひどいよ? 我が子ばっかり見てないで、自分の鏡も見なよ」
アドバイスというより、もはや人格攻撃。周囲のママ友たちも苦笑い。テーブルには微妙な空気が漂っていました。すると突然、それまで黙っていたAの小学生の息子さんが口を開いたのです。
「時々は僕も写真、撮ってほしいよ」その一言に、その場は水を打ったように静まり返りました。
子どもの視線、親の態度
さらに「ママだっていつもスマホばっかいじってるじゃん」と息子さん。Aが返答できないでいると、別のママ友が「今は見返す時間がなくても、老後に見返す予定なのよねー」と一言。さらに私に向かって「今日、あなたの娘ちゃん誕生日だったよね? そりゃ写真も撮りたくなるよ」と続きます。
Aは気まずそうに黙り込み、それ以上何も言いませんでした。そしてその日を境に、私の写真撮影を批判することはなくなったのです。
子どもは親が思う以上によく周囲を見ています。写真で思い出を残すことも大切ですが、スマホを置いて我が子と向き合う時間も忘れないようにしたいと感じた出来事でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多様な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。

