「家事なんて誰でもできる」
夫と高校生の娘との3人暮らしで、家事はほとんど私が担当していました。ある日の夕食後、夫が料理を見て「今日もこれだけ? 俺は毎日働いてるんだけど」と文句を言ってきたのです。
「買い物も掃除も洗濯もあるから、夕飯だけ作ってるわけじゃないよ」と返すと、「家事なんて誰でもできるだろ。誰のおかげで生活できてると思ってる?」と言われました。
すると、それまで黙っていた娘が「じゃあ、お父さんが全部やってみたら?」とひと言。夫は「余裕だよ」と笑っていました。
夫に家事を任せてみると
そこで翌週の月曜日から1週間、夫に家事を任せることにしました。私は自分の身の回りのことだけをします。初日は得意げだった夫ですが、洗濯物を干したまま出勤し、夕方の雨で全部びしょ濡れに。
翌日はゴミを出すのを忘れたうえ、冷蔵庫の食材を確認せずに買い物をしたため、同じ野菜や調味料ばかり増えていきました。3日目には「夕飯、何がいい?」と聞いてきたので、「誰でもできるんじゃなかった?」と返すと、夫は黙り込んでしまいました。
娘のひと言で逃げ道なし
週末になると、夫が「もういいだろ。そろそろ普通に戻そう」と言い出しました。すると娘が、夫の言った「家事なんて誰でもできる」という言葉を持ち出し、「まだ1週間も終わってないよ」とばっさり。
さらに私は、普段やっている家事を書き出したメモを見せました。食事や洗濯だけではありません。日用品の補充、家族の予定確認、学校関係の書類など、夫が気づいていなかった作業がずらりと並んでいます。
それを見た夫はしばらく黙り込み、「こんなにあったのか……」と小さな声でつぶやきました。
1週間後、夫から出た言葉
1週間が終わった夜、夫から「誰でもできるなんて言って悪かった」と謝られました。私は「できるかどうかじゃなくて、毎日続けるのが大変なの」と返しました。
それ以降、夫はゴミ出しと週末の夕食作りを担当するようになり、以前のように家事を軽く見る発言もしなくなりました。娘から「お父さん、1週間でずいぶん変わったね」と笑われると、夫は何も言い返せませんでした。
毎日当たり前に行われている家事ほど、その大変さは見えにくいもの。言い返すだけでなく実際に経験してもらったことで、夫にも家事の負担を理解してもらえたと感じています。
【体験者:40代・主婦、回答時期:2026年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:佐藤 栄祠
大手メーカーの営業を経て、ライターに転身。会社員時代に培った経験と、組織の一員であるからこその“喜怒哀楽”をリアルに伝え、「誰かを癒したい」との思いが執筆の原動力。スピリチュアル関連情報にも精通しており、それらに傾倒する人の思いを描いたエピソードも好評。

