なくなったハーブの行方
私は、自宅の小さな庭で、季節の花やハーブを育てるのが私の楽しみでした。ある朝、庭を見るとハーブが何本か切られています。「鳥かな?」と思い、その日は特に気にしませんでした。
ところが数日後、近所の女性から突然、「この前もらったハーブ、料理に使ったよ」と言われたのです。「え? 私、あげてないけど」戸惑う私に、女性は悪びれる様子もなく、「いっぱいあるから、ちょっとくらいいいでしょ?」と笑いました。
庭に入ってきた女性
それからというもの、庭の花やハーブが少しずつなくなるようになったのです。さすがに気味が悪くなり、夫にも相談しました。
ある休日、リビングから庭を見ると、その女性が門扉を開けています。そのまま、当たり前のように庭へ入ってきました。慌てて外へ出て、「勝手に入らないでいただけますか?」と伝えると、「近所なのに細かいこと言わないでよ」と不機嫌そうな顔。いくら近所でも敷地に無断で入るのは不法侵入。相手の開き直るような態度に怖さを感じた私は、「もう庭には入らないでください」と念を押しました。
翌朝、玄関前にあったもの
翌朝、玄関を開けた私は思わず立ち止まりました。ドアの前に、切り取られた花やハーブがまとめて置かれていたのです。前日まで庭に咲いていた花まで混じっています。さらに、小さな紙には「返せばいいんでしょ」の一言。腹が立つより、怖くなりました。
「夜中にまた庭へ入ったってこと?」そう考えた瞬間、家の中までどこかから見られているような気がして、背筋が冷たくなりました。注意されたらやめると思っていましたし、まさか夜に来て、あんなものを置いていくとは思いもしませんでした。
防犯カメラを設置すると……
夫と相談し、すぐに防犯カメラとセンサーライトを設置しました。これまでに起きたことも、日時と一緒に記録することに。するとカメラを取り付けた翌日から、女性が庭へ入ってくることはなくなりました。道ですれ違っても目を合わせず、しばらくすると挨拶もしなくなりました。
今でも、あの朝の光景を思い出すと気味が悪くなります。幽霊より、生きている人間のほうが怖いこともある。こちらの常識が相手にも通じるとは限らないと感じた出来事でした。
【体験者:40代・主婦、回答時期:2026年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:佐藤 栄祠
大手メーカーの営業を経て、ライターに転身。会社員時代に培った経験と、組織の一員であるからこその“喜怒哀楽”をリアルに伝え、「誰かを癒したい」との思いが執筆の原動力。スピリチュアル関連情報にも精通しており、それらに傾倒する人の思いを描いたエピソードも好評。

