骨折した義母
義母が家の階段から落ちて骨折し、しばらく私の家で暮らすことになりました。気の強い義母は、普段から私に厳しく当たってくる人です。
しかし居候初日、体力が落ちているせいか、驚くほど静かな義母。そんな姿を目の当たりにして、一緒に暮らす間は出来る限り彼女が快適に暮らせるようにサポートしようと思ったのです。
家族が外出すると
しかし翌日。夫と息子、そして高校生の娘が家を出ると、義母の態度は一変。「リモコン取って」「トイレに連れていけ」「トイレを流せ」「〇〇買ってこい」
足が不自由なのを理由に、次々と命令が飛んできます。そして家族が帰宅すると、また物静かな義母に戻る。その落差に、私は疲労よりも虚しさすら覚えていました。
数日が経つと、行動はエスカレート。反抗期の娘の前でも義母は嫌がらせをするようになりました。わざとコップを倒して私に床を拭かせたり、そんな私の上に物を落としたり。娘はスマホを見ているだけで、何も言いません。
「娘も義母も、私のことをどうでもいい存在と思っているんだ」そう感じた私は泣きそうになりながら、こぼされた飲み物を拭いていました。
娘の一声
その時でした。スマホを見つめていた娘が、ふいに口を開いたのです。「おばあちゃん、私、目いいよ?」と。義母が「え?」と驚き、私も意味がわからず固まりました。娘は続けます。「私がしてるカラコン、度なしなの。つけててもつけてなくても視力は1.2なの」
居候初日、娘が大きなカラコンを外す姿を見て義母が驚いたことがありました。その時、娘は「これ、コンタクトレンズだよ」と説明していたのです。義母はそれを“視力が悪い証拠”だと思い込み、娘には自分の嫌がらせが見えていないと判断したのでしょう。
いつも帰宅後すぐにカラコンを外す娘。しかし娘は裸眼でも視力は良好。義母の行為は、すべて見えていたのです。
スマホいじりの理由
娘はスマホを掲げて言いました。「おばあちゃんの、ママへの嫌がらせ行為、ちゃんと動画に撮ったよー。パパに送っていい?」私は娘がただスマホをいじっているだけだと思っていました。しかし娘は、義母の行動をしっかり記録していたのです。
「ママに水筒落とすとか、まじで犯罪だかんね?」その一言で、義母の嫌がらせはぴたりと止まりました。大好きな孫からの信用を失った義母。その喪失感は、私へのいびりよりもずっと重く義母にのしかかったのかもしれません。
悪い隠し事は、往々にして露見するものです。特に、本人が「完璧に隠せている」と思い込んでいるほど、実際には杜撰で、あっさりと暴かれることもあります。改めて“恥ずかしくない行動を選び続けること”の重みを感じました。大切な人からの信用を失わないためにも。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2026年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。

