いつも正しい夫
夫とは結婚して25年になりますが、昔から何かを決めるときは「俺の言う通りにすれば間違いない」と、自分の意見を押し通す人でした。家族で出かける場所や家電の買い替えなど、私が意見を出しても「いや、それは違う」「こっちのほうがいい」といつも却下されてしまいます。
話し合おうとしても途中で遮られてしまい、私の言葉は最後まで届きません。いつしか自分の意見を言うこと自体を諦めるようになったのです。
張り切る父親
そんなある日の晩ごはんのとき、娘の結衣(仮名・20代)が「今度、彼氏を紹介したいんだけど」と言い出しました。
すると夫は「おお、ついに来たか。どんな男か俺がちゃんとチェックしないとな」「変な男だったら認めないからな」と、まるで自分が娘の結婚相手を決めるかのように張り切り始めてしまったのです。
結婚相手の条件
上機嫌の夫はいつも以上に酒を飲み、顔はすっかり真っ赤です。そんな父親の姿を見ながら、結衣が「そういえば私、結婚するなら絶対に譲れない条件があるんだよね」と、スマホにまとめていた結婚相手の条件リストを私たちに見せてきました。
そこには「妻の話を最後まで聞く人」「自分が正しいと思い込まない人」「パパと真逆な人」と書かれていました。それを読んだ夫の顔は、一気に青ざめます。
さらに結衣から「私、パパみたいな人とは絶対結婚しないから」と言われると、夫は何も言い返せなくなってしまったのです。
静かになった夫
結衣が部屋に戻ったあと、夫が珍しく神妙な顔で「俺、間違ってたのか」と私に聞いてきました。「私はずっとそう言ってきたよ」と静かに伝えると、夫はしばらく黙ったあと「……そっか」とつぶやきます。25年間届かなかった私の言葉が、ようやく夫に届いた瞬間でした。
後日、結衣が本当に彼氏を家へ連れてきました。あれほど意気込んでいた夫でしたが、先日の一件が効いたのか、彼氏を前にするとすっかりおとなしくなっていたのです。私はそんな夫を見ながら「今までのあの勢いはどこにいったんだろう」と心の中で笑ってしまいました。
娘からの痛烈な一言は、これまでの自分の言動を見直すいいきっかけになったのかもしれません。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:逢坂 ゆな
ライター業をしながら、実は現役の保育士でもある。その実体験を元にしたエピソードをSNS発信すると好評を得て、執筆者としても活躍するように。幼稚園教諭や歯科受付などの、多彩な職業も経験。読者からの共感の声やお悩み相談、体験談が届き、それらも元に執筆中。育児エピソードや義母・夫とのバトルなど、ママ世代から共感を呼ぶリアルな体験記事が人気。

