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今回は、娘の早智子(仮名)が、妊娠初期のつわりに苦しんでいたときの出来事をご紹介します。体調に配慮してほしいと職場へ相談したものの、直属の上司から返ってきたのは思いやりとはほど遠い言葉でした。追い詰められていた早智子を救ったのは、同じ部署で働く先輩女性の機転でした。

「妊娠は病気じゃない」と言う上司

妊娠がわかって間もない頃、私は強いつわりに悩まされていました。医師にも相談し、会社へ妊娠を報告したうえで「体調が悪いときは少し休ませてください」と上司にお願いしました。しかし返ってきたのは、「妊娠は病気じゃない。特別扱いを求められても困る」という言葉。

それからは私が席を外すたびに時計を見て、「また休憩? 随分と優雅だね」と同僚の前で嫌みを言われるようになりました。

机に置かれた退職届

ある朝、吐き気が治まらず給湯室で休んでいると、上司が段ボール箱を指さして「仕事中に寝る余裕があるなら、倉庫の資料を運んで」と言いました。重い物を持つのが不安だと伝えても、「昔の女性は妊娠中でも畑仕事をしていた。甘えすぎ」と一蹴。

さらに退職届の用紙を私の机に置き、「これ以上休むなら、これを書いて。代わりはいくらでもいるから」と言ったのです。ショックで何も言えない私に代わり、先輩が「その発言、本気ですか?」と尋ねました。

先輩が見せたスマートフォン

上司は「本人のためを思って言っている」と言いながら、退職届を私の前へ押し出しました。すると先輩がスマートフォンを見せ、「では、今の発言も本人のためだったと人事に説明してください。最初から録音しています」とひと言。

以前から上司の嫌みを心配し、私の了承を得て会話を記録してくれていたのです。上司は急に声を小さくし、「退職しろとは言っていない。選択肢を示しただけ」と弁解。先輩は退職届を指し、「用紙まで用意して『代わりはいくらでもいる』と言ったのに、選択肢ですか?」と冷静に返しました。

「誤解ではなく、録音された事実です」

その後、人事担当者が私や部署の社員へ聞き取りを行い、複数の人が上司の発言を証言してくれました。上司は厳重注意を受けて管理職から外され、私は別の上司のもとで働けることに。

後日、元上司から「誤解させたなら申し訳ない」と言われましたが、「誤解ではなく、録音された事実です」と返しました。先輩や周囲に支えられ、私は無事に産休へ入るまで仕事を続けられました。

理不尽な扱いを受けたときは、1人で抱え込まず、記録を残して周囲や相談窓口へ助けを求めることも大切だと感じています。

【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2026年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:佐藤 栄祠
大手メーカーの営業を経て、ライターに転身。会社員時代に培った経験と、組織の一員であるからこその“喜怒哀楽”をリアルに伝え、「誰かを癒したい」との思いが執筆の原動力。スピリチュアル関連情報にも精通しており、それらに傾倒する人の思いを描いたエピソードも好評。

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