私の友人・雄介さん(仮名)は、子どもの頃、祖母から「お盆の海には近づいてはいけない」と言い聞かされていたそうです。大人になり、そんな話もすっかり忘れていたあるお盆の夜、海沿いを一人で歩いていると……?
祖母から聞かされていた話
子どもの頃、夏になると祖母から何度も聞かされていた話があります。「お盆の海には近づいたらいけないよ」「もし何か聞こえても、絶対に返事をしたらダメだからね」幼かった私は、祖母があまりにも真剣な顔で話すので、なんとなく怖く感じていました。
当時はお盆の時期になると海へ近づかないようにしていたものの、成長するにつれてその話を思い出すことも少なくなっていきます。大人になる頃には、私はすっかり気にも留めなくなっていました。
暗い砂浜から聞こえた声
ある年のお盆、地元へ帰省したときのことです。その日は久しぶりに友人と飲みに行き、夜遅くに一人で実家へ帰っていました。海沿いを歩く帰り道、ガードレールのすぐ下には砂浜が広がっています。昼間とは違って辺りは真っ暗で、聞こえてくるのは波の音くらい。
すると突然、暗い砂浜のほうから声が聞こえてきたのです。「……ねえ」
一瞬、気のせいかと思いました。しかし少し歩くと、今度は「……おーい」と、誰かを呼ぶような掠れた声が聞こえます。こんな時間に誰かいるのだろうか。そう思った私は、反射的に「誰ですか?」と答えようとしました。
