会話に忍ばせる学歴マウント
私の職場には、やたらと学歴を気にする上司、山下さん(仮名)がいました。山下さんは会話のたびに「〇〇大なら優秀だよね」「これだから高卒は……」などと学歴の話を挟むタイプ。
新しく入社した人にも、決まって「大学どこでした?」と聞くのが癖になっていて、周囲はそのたびに微妙な空気になっていました。
お決まりの確認
ある日、中途で加藤さん(仮名)が入社してきました。黒縁メガネにシンプルなシャツ姿で、物静かで控えめな印象の人。案の定、山下さんは早速「加藤さんって、大学どちらなんですか?」と尋ねました。
周囲が「また始まった……」という空気になる中、加藤さんは少し間を置いて「自分、高卒なんです」と穏やかに答えました。それを聞いた山下さんは「へぇ〜、そうなんですね」と返しつつ、どこか見下すような態度をにじませていました。
窮地で問われる真価
しかし数日後、社内で基幹システムの不具合が発生し、フロアは軽いパニック状態に。
「反映されない」「資料が出せない」と周囲が混乱する中、加藤さんは一人冷静に状況を確認し、わずか30分ほどで原因を特定、そのままシステムを見事に復旧させたのです。
肩書きでは測れない実力
驚く社員たちの前で、部長がぽつりと「加藤さん、前職では年商数十億規模のIT企業で中心メンバーとして開発を担当していた人なんだよね」と明かしました。
その瞬間、それまで上から目線だった山下さんは「……そうなんですね」と一気に低姿勢に。肩書きだけで人を判断することの危うさが、はっきりと浮き彫りになった出来事でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:中條みき
医療事務として7年間勤務。患者さんに日々向き合う中で、今度は言葉で人々を元気づけたいと出版社に転職。悩んでいた時に、ある記事に救われたことをきっかけに、「誰かの心に響く文章を書きたい」とライターの道へ進む。専門分野は、インタビューや旅、食、ファッション。

