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今回は、友人の美咲さん(仮名)から聞いた職場の話をご紹介します。その部署には、「昔からこうだから」が口癖の女性社員がいて、独自ルールがいくつも存在していました。最初は誰も疑問を口にできず、空気に従うしかなかったのですが……。

当たり前だった逆らえない空気

私の部署には、田辺さん(仮名)という50代の女性社員がいました。立場としては普通の社員なのですが、とにかく存在感が強くて、「昔からこうだから」が口癖でした。

新人は始業30分前に来て掃除。女性社員はお茶出し担当。昼休憩の席順まで、なんとなく決まっていました。しかも、定時になっても男性社員より先に女性が帰るのはよくない、という空気まであったのです。

誰かが少しでも違う動きをすると、あとから嫌味を言われる。直接怒鳴るわけではないのですが、聞こえるようにため息をつかれたり、「最近の若い人はねぇ」と言われたり……。

正直、かなり疲れていました。でも、みんな面倒を避けたくて従っていたのです。

新任課長が口にした違和感

そんな部署に、黒木課長(仮名)が異動してきました。40代くらいの穏やかな人で、最初は静かに周囲を見ている印象でした。ただ、部署の空気にはすぐ気づいていたと思います。

ある日、私は体調を崩してしまい、定時で帰ろうとしたことがありました。すると田辺さんが、少し大きめの声でこう言ったのです。「最近の人はすぐ帰れていいわよねぇ」空気が一気に重くなりました。私は慌てて「すみません……」と言いかけたのですが、その瞬間でした。

黒木課長が静かに顔を上げて、「定時ですよね?」と、ひと言。さらに続けて、「女性が先に帰ってはいけないというルール、会社にありました?」と聞いたのです。

その場の空気が止まった

部署がシーンとなりました。田辺さんは不機嫌そうに、「昔からそうしてるだけです」と返しました。すると黒木課長は、落ち着いた口調のまま、「昔から、は理由になりません」とはっきり言ったのです。

私は心の中で、(うわ……真正面から言った)と驚きました。しかも、それだけでは終わりませんでした。翌週から、黒木課長は部署のルールを見直し始めたのです。

掃除は全員の持ち回り制。お茶出し文化は廃止。昼休憩も自由。さらに会議で、「ローカルルールは禁止します」と正式に宣言しました。

そして、「誰か1人の価値観で職場を縛るべきではありません」とも話していました。その瞬間、若手社員だけでなく、男性社員までホッとした顔をしていたのを覚えています。

疑問を口にする人が空気を変える

あれから、部署の空気はかなり変わりました。有休も取りやすくなり、昼休憩も各自自由に過ごしています。以前のような妙な気疲れが減り、仕事そのものに集中しやすくなった気がします。田辺さんも以前ほど強く言わなくなりました。

今でも私は、黒木課長の「それ、会社のルールですか?」という言葉をよく覚えています。長年続いていたことでも、誰かが冷静に疑問を投げかけるだけで、空気は変わる。あの出来事は、それを強く感じた出来事でした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:佐藤 栄祠
大手メーカーの営業を経て、ライターに転身。会社員時代に培った経験と、組織の一員であるからこその“喜怒哀楽”をリアルに伝え、「誰かを癒したい」との思いが執筆の原動力。スピリチュアル関連情報にも精通しており、それらに傾倒する人の思いを描いたエピソードも好評。

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