「ないよ」だけの夫
私は3歳と5歳の子どもを育てながら、共働きで生活しています。夫は掃除や皿洗い、寝かしつけなど、“見える家事”は積極的にやってくれていました。そのため周囲からは「協力的な旦那さんだね」と言われることも少なくありません。
ただ、実際の生活の中では、トイレットペーパーやシャンプーの補充、切れた調味料の買い足しなど、細かな作業はすべて私が担っていたのです。夫は子どもをお風呂に入れながら「もうシャンプーないよ」と言うだけで、自分で補充したり、買い足したりすることはありませんでした。
伝わらない負担
私は、普段どれだけ細かなことに気を回して生活しているかを、改めて夫に伝えてみることにしました。しかし返ってきたのは「え、でも今の生活で何も困ってないじゃん」という言葉。
話して伝わらないなら、身をもって知ってもらうしかない。そう思った私は、その日を境に、トイレットペーパーやシャンプー、調味料など、なくなったタイミングでそのままにしておくことにしたのです。
「ないよ」の代償
数日後から、夫は「トイレットペーパーどこ?」「シャンプー詰め替えてない?」と家の中で何度も言うようになりました。しかし私は、そのたびに「もうないね」と返すだけ。夫も最初は、そこまで深刻には考えていない様子でした。
ところがある朝、洗面所で「歯磨き粉ない!」という焦った声が響いたのです。洗面所をのぞくと、夫は洗面台の引き出しの中を慌てて探していました。出社まで時間がなかった夫は、なんと娘用の甘い歯磨き粉を手に取り「うぇ……甘い」と顔をしかめながらも、急いで歯磨きを済ませ、家を飛び出していきました。
やっと聞けた言葉
その日の夜、帰宅した夫がいきなり「今までごめん」と謝ってきました。話を聞くと、営業先で取引先の相手から「なんか今日、甘い匂いしません?」と言われたそうです。子ども用の歯磨き粉の香りだとは言えず、かなり気まずい思いをしたのだとか。
夫は「今まで、こういう細かいこと全部やってくれてたんだな……」とぽつりと口にしました。それ以降、自分から日用品のストックを確認し、足りないものを買い足してくれるようになりました。
ですがもちろん、夫だけに任せるつもりもありません。これからは、お互いに気づき合える関係でいたいと思っています。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:逢坂 ゆな
ライター業をしながら、実は現役の保育士でもある。その実体験を元にしたエピソードをSNS発信すると好評を得て、執筆者としても活躍するように。幼稚園教諭や歯科受付などの、多彩な職業も経験。読者からの共感の声やお悩み相談、体験談が届き、それらも元に執筆中。育児エピソードや義母・夫とのバトルなど、ママ世代から共感を呼ぶリアルな体験記事が人気。

