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時間と手間をかけた手料理が、たった一言で評価されてしまう。しかもそれが「軽めのダメ出し」だったりすると、じわじわ効いてくるものです。今回は、筆者の友人・めいさん(仮名)が体験した、食卓に積もっていたモヤモヤが、ある瞬間にひっくり返ったお話です。

なぜか毎回ついてくる「ひとこと評論」

私の夫は、なぜか毎回手料理に「ひとこと評論」を添えてくるタイプ。「ちょっと味薄いかな」「前の方がよかった」「やっぱ店の方がうまいね」

頼んでもいないのに、家庭の食卓にだけ現れるグルメ評論家。しかも採点は、だいたい辛口でした。

「今日は何点?」が頭をよぎる日々

最初は「そうなんだ」と聞き流していたけれど、回数が増えるほど地味に効いてくるのです。作るたびに何かしら言われるので、もはや料理というより毎日が審査会。

「今日は何点なんだろう……」と、変な緊張感まで生まれていました。

「うまいじゃん」の正体

ある日、ふと思いました。「では、惣菜を出したらどうなるのだろう」と。そこで何も言わず、市販の総菜をそのまま食卓に出してみました。夫はいつも通り一口食べて、「今日うまいじゃん」と一言。

間髪入れず、私は言いました。「それ、全部買ってきたものだけど?」夫は一瞬フリーズし、評価コメントはそのまま置き去りになりました。

グルメ評論家、引退の日

「店の味がいいんじゃなかった?」と軽く畳みかけると、夫は気まずそうに箸を止めるだけでした。その様子を見て、これまでの「ひとこと評価」の正体が、なんとなく見えた気がしました。完璧な味の分析など、最初からなかったのかもしれません。

そう思えた瞬間、胸の奥にたまっていたモヤモヤが、すっと軽くなりました。あの日以来、食卓に現れていた「自称グルメ評論家」は、ぱったり姿を見せなくなったのでした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:中條みき
医療事務として7年間勤務。患者さんに日々向き合う中で、今度は言葉で人々を元気づけたいと出版社に転職。悩んでいた時に、ある記事に救われたことをきっかけに、「誰かの心に響く文章を書きたい」とライターの道へ進む。専門分野は、インタビューや旅、食、ファッション。

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