「派遣のくせに」お茶汲みを命じるお局社員
私の職場の先輩が、ある専門スキルを持つ派遣社員として、新しいプロジェクトに参画した時のことです。その職場には、古株の正社員・加藤さん(仮名・40代女性)という、非常に態度の大きな女性がいました。
プロジェクトの根幹を決める重要なキックオフ会議の当日、先輩が会議室に入ろうとすると、加藤さんが立ち塞がりました。「ちょっと、派遣のくせに会議に出るなんて10年早いわよ。あなたは外で待機して、皆のお茶汲みでもしてなさい」
「社員だけで話し合う」と鼻で笑われ……
先輩が「私もメンバーとして呼ばれているのですが……」と説明しても、加藤さんは聞く耳を持ちません。「いいのよ、社員だけで責任ある話し合いをするから。部外者は口出ししないで」彼女はそう言って鼻で笑い、先輩を強引に会議室から追い出してしまいました。
加藤さんは、先輩のことを単なる「人手不足を補うための雑用係」だと思い込んでいたようですが、実はこのプロジェクトは、社長が彼女の過去の実績を高く評価し、名指しで依頼してきた重要案件だったのです。
会議室に響き渡った、社長の怒号
会議開始から10分ほど経った頃でしょうか。静まり返ったフロアに、会議室内の内線電話が鳴り響く音が聞こえてきました。受話器を取った加藤さんの声が、扉越しに漏れてきます。
「はい、お疲れ様です社長。えっ……メインアドバイザーの〇〇さん(先輩)ですか? いえ、彼女は派遣ですので、今は外で待機を……」
その瞬間、受話器越しでもはっきりと聞こえるほどの社長の怒鳴り声が響きました。「何を言っているんだ! 彼女がいないなら、このプロジェクトは今すぐ中止だ! 彼女の代わりなんて、うちの社員には一人もいないんだぞ!」
蒼白な顔で「しどろもどろ」になるお局様
数分後、会議室のドアが勢いよく開き、加藤さんが飛び出してきました。その顔は、先ほどまでの余裕が嘘のように真っ青でした。「あ、あの、〇〇さん……手違いで! ぜひ、ぜひ会議に参加していただきたくて……」
社長から「代わりがいない」とまで言われた相手が、自分が「お茶汲み」とバカにしていた派遣社員だと知り、加藤さんは完全なパニック状態でしどろもどろ。彼女のプライドは、全社員が見守る前でズタズタになったといいます。
この一件以来、先輩の専門性に口を出す者は誰一人いなくなり、プロジェクトは非常にスムーズに進みました。立場に胡坐をかいていた加藤さんにとって、これ以上ない薬になったようです。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2026年3月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:北山 奈緒
企業で経理・総務として勤務。育休をきっかけに、女性のライフステージと社会生活のバランスに興味関心を持ち、ライター活動を開始。スポーツ、育児、ライフスタイルが得意テーマ。

