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当たり前のように一緒にいた人が、ある日突然いなくなることがあります。その現実をすぐには受け止めきれないまま、日常だけが静かに続いていくことも少なくありません。今回は、筆者の友人ゆうじさん(仮名)が経験した、ある上司が残してくれた「想い」に気づいたエピソードを紹介します。

教育担当として支えてくれた上司

数年前まで同じ部署で働いていたの上司の上野さん(仮名)は私の教育担当で、業務を一から丁寧に教えてくれた存在でした。

最初は厳しく感じることもありましたが、誰よりも面倒見がよく、仕事だけでなく考え方まで支えてくれる存在でもありました。

突然の別れと、残されていた言葉

しかし数年前、上野さんが突然の事故で亡くなりました。あまりにも急な出来事で、職場全体が言葉を失い、現実を受け止めきれないまま時間だけが過ぎていきました。

後日、その上野さんのデスクを整理することになり、私も手伝うことに。引き出しを開けると、資料やメモは驚くほど整然と並んでおり、その几帳面さがそのまま残されていました。

その中に、一つだけ裏向きで付箋が貼られたファイルがありました。何気なく開いてみると、表紙にこう書かれていました。「困ったらここ見れば大丈夫」

そこに残されていた「生きた引き継ぎ」

中を確認すると、そこにはまだ聞いていなかった重要な業務の流れや判断基準が、細かくまとめられていました。

さらにページをめくると、「ここはゆうじがよく間違えるので注意」「迷ったらこの手順でやれば大丈夫」といった、まるで日常の癖まで把握しているような個別のアドバイスが丁寧に残されていたのです。

それは単なる業務資料ではなく、私が1人で困らないように、あらかじめ想定して作られた「生きた引き継ぎ」でした。

今も残り続ける、あの人のやさしさ

その瞬間、私は胸が熱くなりました。「ちゃんと見ててくれてたんだな」そう気づいた途端、涙が止まらなくなりました。

もう直接言葉を交わすことはできません。それでもそこには、最後まで変わらなかった気遣いと優しさが、確かに残っていたのでした。

【体験者:30代・男性会社員、回答時期:2025年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:中條みき
医療事務として7年間勤務。患者さんに日々向き合う中で、今度は言葉で人々を元気づけたいと出版社に転職。悩んでいた時に、ある記事に救われたことをきっかけに、「誰かの心に響く文章を書きたい」とライターの道へ進む。専門分野は、インタビューや旅、食、ファッション。

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