手のかかる後輩
ある年の4月、当時30代前半の私は新入社員のTさん(20代女性)の指導係となりました。Tさんは私が仕事の説明をしている際にも全くメモを取らず、仕事のマニュアルを渡してもこれまた全く読まみません。
やんわりと伝えても改善せず、ためしに簡単な仕事をお願いしてもミスをしてしまいます。最近の若者はこんな感じなのかなと思い、辛抱強く指導していた記憶があります。
簡単なFAX送信はすぐに完了?
Tさんがやっと仕事に慣れてきた頃、取引先へFAXを送るようお願いしました。大事な請求書を送るため、念のためマニュアルを確認ながら慎重に操作するよう伝えます。
すると「はい!」と元気に返事をしてFAX機のところへ。そして数分後には「FAX送っておきました!」と自信満々に報告がありました。
なぜか警察から連絡が
そして先ほどのFAXのことなど忘れて目の前の仕事に集中していると、デスクの電話が鳴り始めます。
「こんにちは、〇〇警察の者です。確認したいことがあり、ご連絡しました」……電話の相手は、なんと警察官でした。
高齢者を不安に
警察の方から話を聞いたところ、とんでもない事態が起きていました。先ほどTさんが取引先へ送ったはずの請求書が、誤って一般家庭へ送られていたのです。
FAXが届いたお宅には高齢女性が一人で住んでおり、高額な請求書を見てとても驚かれたそう。特殊詐欺を疑って警察に相談したとのことでした。
上司からの叱責で改めた態度
その後のヒアリングで、FAX誤送信はTさんがマニュアルを無視して操作をしたことが原因であると判明。今回の件は社内幹部にまで報告が上がり、Tさんは上司からひどく怒られたそうです。
関係のない一般の方を不安にさせ、警察まで巻き込んだ事の重大さは、さすがのTさんも理解したようです。その事件以降、Tさんは勤務態度を改め、丁寧に仕事をするようになりました。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:伊村 えりか
薬剤師歴12年。就業を通じて多くの人生や、悩み、奇跡などに直面し、それらを伝えるべく執筆活動を開始。職場や同世代の女性との会話をもとに、医療現場の裏側から家族の「あるある」まで、多岐にわたるテーマで執筆を手がける。子育てサイトのアンバサダーを務め、身近な視点を活かしたコラムを執筆中。

