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私の友人・美幸さん(仮名)の義実家では、家に入ると何よりも先に『お仏壇に手を合わせる』というルールがあるそうです。最初は少し戸惑った美幸さんも、今ではすっかりその習慣に馴染んでいました。ところが、ある日の息子の行動がきっかけで、そのルールに少しだけ変化が訪れました。

初めての義実家での挨拶

私が結婚の挨拶で初めて義実家を訪れたときのことです。玄関先で挨拶をしようとすると、義母がにこやかにこう言いました。「入って入って! どうぞ先にお仏壇に!」

私は少し驚きながらも、言われるがまま家に上がり、まずはお仏壇へ手を合わせました。持ってきた手土産も、その場で開けることなくそのままお仏壇に供える流れです。最初は戸惑いもありましたが、それがこの家のやり方なのだと思い、そのまま受け入れていました。

いつの間にか当たり前に

結婚してからも、義実家に行くときは変わらず同じ流れが続いていました。玄関を上がったら、まずはお仏壇に手を合わせる。最初は少し緊張していたその習慣も、回数を重ねるうちに特別なものではなくなり、私の中でもすっかり馴染んでいきました。

息子のまっすぐなひとこと

やがて子どもが生まれ、息子が4歳になった頃。ある週末、いつものように家族で義実家を訪れ、玄関で靴を脱いでいたときのことです。「じゃあお仏壇に……」と、いつもの流れになりかけたそのとき……息子が、靴を脱ぐなりドタドタと家の奥へ走っていったのです。

突然のことに、義母も驚いて「あら! どこ行くの〜?」と息子に声をかけました。すると息子は振り返りもせず、大きな声でこう言いました。「おトイレなの!」「今日は一番におトイレ! ばあば、ごめんね〜!」

その言い方があまりにも堂々としていて、私も思わずぽかんとしてしまいました。

少しだけゆるんだ習慣

次の瞬間、その場にいた大人たちは顔を見合わせて、くすくすと笑ってしまいました。それまで『まずはお仏壇』が当たり前だった義実家ですが、この日をきっかけに、その空気がやわらいだように感じました。『先にトイレはOK』という、ちょっとした例外ができたのです。

義実家の習慣も大切にしながら、こうして少しずつ形が変わっていくこともあるのだと感じました。子どものまっすぐなひとことが、場の空気を和ませてくれた出来事でした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。

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