ひそひそ声での問い合わせ
処方せんを受け取った際、月に何度か受ける質問があります。それは「今日のお薬代が何円くらいになるか」というもの。人によっては「手持ちが〇円しかない。足りますか?」と具体的な所持金を教えてくれる場合もあります。
会計前の緊張感
その場合、処方内容をパソコンに打ち込み、仮ではありますが大まかな金額をお伝えしています。その金額を聞いてホッとする人、「マズイ」と顔をゆがめる人など、反応はさまざま。
また、お薬の説明が終わって会計の瞬間に、現金が足りず慌てる人も見かけます。キャッシュレス決済などを導入している薬局もありますが、私の勤め先では現金一択。そして、支払いが完了するまでお薬は渡せません。自宅やコンビニATMなどにダッシュで資金調達してもらうことになります。
体調が悪いなか、本当に心苦しい瞬間です……。
金額が分からないスリル
どうしてこういうことが起こるのか。やはり一番の理由は「お薬代の目安はつけにくい」ことにあると思います。お薬代は国が定めたルールのもとで計算されていて、かなり複雑。スーパーなどのように値札は付けられません。
さらに負担割合も人それぞれ。自己負担額が数百円で済む人もいれば、お薬の内容によっては万単位になる人もいます。毎回決まった処方ならともかく、金額の分からない支払いには一種のスリル感もあるでしょう。
備えあれば憂いなし
保険診療というルール上、どうにもならないことではありますが、患者さんにとって「金額が読めない会計」を当たり前に行っているこの業界は、よく考えたらすごいと思います。メモに走り書きをして、こっそり患者さんにお伝えする光景は、薬局では珍しくありません。
もし可能であれば、受診の際は現金に余裕を持たせておくと、想定外の事態になったときにご自身が困らないかと思います。体調不良のなか、どうか二重にしんどい思いをされませんように。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:S.Takechi
調剤薬局に10年以上勤務。また小売業での接客職も経験。それらを通じて、多くの人の喜怒哀楽に触れ、そのコラム執筆からライター活動をスタート。現在は、様々な市井の人にインタビューし、情報を収集。リアルな実体験をもとにしたコラムを執筆中。

