人に不快感を与えたくない
学生時代の私は、社会に出てから困らないようにと、マナーには人一倍気を遣っていました。テーブルマナーはもちろん、立ち姿やしゃがみ姿など、「人に不快感を与えないふるまい」を意識していた記憶があります。
トイレットペーパーの三角折り
その延長で続けていたのが「トイレットペーパーの三角折り」です。三角折りの良さは、何といっても見た目の美しさ。「こうしておけば、次の人に気持ちよく使ってもらえるだろう」と信じて疑わず、あらゆる場面で実行していました。
気分が良かったのは自分だけ
そんな私の思い込みが崩れたのは、大学4年生の時に始めた飲食店でのアルバイトでした。先輩スタッフに仕事内容を教わるなかで、トイレに関するこんなアドバイスをもらったのです。「トイレ休憩をとる時は、ついでに全個室のトイレットペーパーを見回りしておいてね」
私はてっきり、先輩は紙の補充について話しているのだと思っていました。しかし、「全個室の見回り」には、もうひとつの意味が込められていたのです。「紙の補充と、ペーパーの三角折りがあったら崩しておいて。前にお客さんからクレーム受けたことがあって」
三角折りの意味
三角折りは本来、清掃終了のサインだということを、この時に初めて知りました。トイレ使用者が折ると紛らわしいうえ、手洗い前に触ることになるため不衛生に感じる人も。
さらに先輩はこう続けました。「クレーム事件の時はビックリしたけど、『使いたくないな』って思う気持ちは分かるよね~!」にこやかに話す先輩とは裏腹に、私は内心ヒヤヒヤしていました。
気遣いの押し売りだった
それ以降、三角折りはしていません。清掃直後以外で、たまに見かけても不快には思いませんが、昔の自分と再会したような気持ちになります。
自分では気遣いのつもりでも、人によっては迷惑になることもある。三角折り事件は、私にそんな教訓を教えてくれました。気遣いって、難しい……。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:S.Takechi
調剤薬局に10年以上勤務。また小売業での接客職も経験。それらを通じて、多くの人の喜怒哀楽に触れ、そのコラム執筆からライター活動をスタート。現在は、様々な市井の人にインタビューし、情報を収集。リアルな実体験をもとにしたコラムを執筆中。

