年中無休のコンビニエンスストアには日々、老若男女問わず様々なお客様がご来店されます。これは、あるコンビニに訪れたお客様にまつわるエピソードです。買い物を手助けしたことで、妙に気に入られてしまい……
ある昼下がり
私はコンビニで働いています。ある日の昼下がり、充電ケーブルを買いに老人Dがご来店。種類が多く、困っている様子だったので私が選ぶのを手伝いました。
それ以来、Dは私を気に入ったようで、よく店に顔を出すように。買い物をして会計時に世間話をする程度でしたが、常連客として親しみを感じていったのです。
団体客の来店
やがてDはゲートボール仲間を連れて来るようになりました。毎週、ゲートボール帰りの老人たちが店内で長時間滞在し、世間話をするように。彼らの数名が飲み物や菓子パンを買うだけで、ほとんどのお客様は何も買わずに退店します。
毎週繰り返されるその光景は、他のお客様やスタッフの業務に支障がきたし、対応に悩む日々が続いていきました。
突然の怒り
ある日、Dが一人でご来店。私は思い切って「団体で長時間滞在されることに少し困っていて、Dさんから皆さんにやめるように言っていただけませんか」と丁寧にお願いしました。
するとDは態度を一変させ、「なんだその態度! こっちはよかれと思って客をたくさん連れてきてやったのに!」と怒鳴り始めたのです。さらに「この店がいつ来ても暇そうだから、遠い公園から寒空の中、はるばる30分も歩いて来てやってんのに!」と続け、買い物かごをレジに置いたまま退店。
私は店長に報告し、今後、団体客が来る時間帯は店長がシフトに入ることになりました。
警察との結末
翌週、団体客が来店した際、Dと鉢合わせないようバックヤードで品出しをしていた私。すると外で騒ぎ声が聞こえ、恐る恐る覗くと数台のパトカーと警察官、そして激怒する老人たちの姿が。
店長に状況を聞くと、彼らは毎回路上駐車をしており、今まさに警察に取り締まられている最中とのこと。Dは「30分も歩いて来た」と言っていましたが、実際には毎回、車で来ていたのです。さらに免許不携帯の老人もいたと、後に聞きました。警察の取り締まり以来、団体客はピタリと来なくなり、コンビニには再び平和が戻ったのです。
仕事上のやり取りで思いがけず好意を抱かれることもあれば、その好意の方向が大きくズレていることもある。そしてそれが一変して敵意を向けられることも……あらためて接客業の大変さを痛感したエピソードです。
【体験者:30代・パート勤務、回答時期:2026年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。

