「休みづらい」が当たり前の職場
私はある飲食店で働いていました。その店は慢性的に人手不足で、以前から休みを取りづらい雰囲気がありました。体調不良や家庭の事情があっても、「みんな我慢してるから」という空気が強く、誰かが休むとどこかでため息が漏れるような環境でした。
私には小さな子どもがいて、できるだけ行事には参加したいと思っていましたが、正直なところ、毎回言い出すのにも勇気が必要でした。
上司の一言が刺さった
ある日、子どもの大事な行事があり、その日はどうしても休みたいと考えました。シフトが確定する前に早めに相談しようと、「子どもの行事があるので、その日はお休みをいただけませんか」と上司に伝えました。
すると上司は少し呆れたような表情で、「俺のときなんて、男で行事参加なんてありえなかったけどなあ?」と言いました。その言葉には、相談を受け止めようとする姿勢は感じられませんでした。価値観を押し付けられたような、突き放す口調でした。
私は一瞬言葉を失い、「そうですか……」としか返せませんでした。その場ではそれ以上何も言われませんでしたが、胸の奥に強い違和感が残りました。
これは負け? それとも逃げ?
今までも休みづらい雰囲気はありましたが、さすがに今どきこの言い方はないと感じました。家庭を大事にしたい気持ちを否定される職場で、これ以上働き続けられるのか疑問が湧いたのです。この出来事をきっかけに、私は転職を考えるようになりました。
辞めると決めたとき、「これは負けなのか」「逃げなのか」と悩みましたが、何度も自問自答するうちに考え方が変わっていきました。
自分の環境は自分で選ぶ
最終的に私は、「相手が変わるのを待つより、自分が環境を変えたほうがコスパがいい」と思うようになりました。価値観を押し付けられる場所に居続けるより、自分と家族を大切にできる職場を選びたいと考え、次の職場を探し始めました。
今振り返っても、あの一言が転職を決断する大きなきっかけだったと思っています。時代遅れの価値観に合わせ続ける必要はないと、はっきり実感した出来事でした。
【体験者:30代・男性会社員、回答時期:2024年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:北山 奈緒
企業で経理・総務として勤務。育休をきっかけに、女性のライフステージと社会生活のバランスに興味関心を持ち、ライター活動を開始。スポーツ、育児、ライフスタイルが得意テーマ。

