ママ友の素敵なマイホーム
子どもが同じ保育園に通うママ友・小百合さん(仮名)は最近マイホームを建てました。おしゃれで、物も少なくて、まるでモデルハウスのような家。インスタグラムにもよく写真を載せていて、私は「素敵だな〜」と思いながら眺めていました。
一方で、私たち家族はアパート暮らしです。今のところマイホームの予定はなく、子どもが遊びやすいように、おもちゃはどうしても多めになっています。小百合さんの家を見るたびに、少しだけ羨ましさを感じることもありました。
何気ない言葉にモヤモヤ
そんなある日、小百合さんが子どもを連れて、私の家に遊びに来ることになりました。部屋に入るなり、小百合さんは少し周りを見渡してから、「子どもがいるとアパートって大変じゃない?」「そろそろ家建てないの〜? ここだと、ちょっと手狭じゃない?」と、悪気はなさそうな口調で話しかけてきました。
私は苦笑いしながら相槌を打ちましたが、どこか引っかかる感じが残りました。きっと、深い意味はなかったのだと思います。それでも、自分が気にしている部分に触れられたような気がして、心の中が少し落ち着かなくなってしまいました。
子どもたちの素直な反応
その横で、ふたりの子どもたちは床に座り込んで、おもちゃを広げて遊び始めていました。車やブロック、人形を次々に出して、楽しそうに声を上げています。
しばらくすると、小百合さんの息子が急に大きな声で「ここのおうち、おもちゃいっぱいあって楽しい〜!」「ずっとここで遊びたい! 帰りたくない!」と言いました。
その瞬間、部屋の空気が一瞬静かになりました。小百合さんは「そ、そう……?」と少し気まずそうに笑い、それ以上家の話題を出すことはありませんでした。
今の暮らしを肯定できた瞬間
子どもの無邪気なひとことで、私の中にあったモヤモヤは少し和らいでいきました。広くておしゃれな家はやっぱり憧れますし、羨ましい気持ちが消えたわけではありません。
でも、子どもが「楽しい」と言ってくれたことは、素直に嬉しく思いました。子どもにとって居心地がいい場所であるなら、今の暮らし方も決して悪くない。そう考えられるようになった出来事でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。

