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教師業をやっていて嬉しいことのひとつが卒業生の訪問だと、教師をしている友人から聞いたことがあります。卒業生に限らず、以前お世話になった人や交流があった人の訪問は心が温かくなります。今回は卒園した園児にまつわる、友人のエピソードです。

残業中の訪問

私は幼稚園に勤務しています。ある日の夕方、残業をしていると、かつての園児Cちゃんが突然部屋に入ってきました。思わず「どうしてここにいるの? ママは?」と尋ねると、「先生、私もう小学生だよ! 今は学校の帰りなんだ」とCちゃん。確かに夕方なら下校時間ですが、まだ幼い子が一人で来園したことに驚きを隠せませんでした。

門までの道のり

「そっか、お姉さんになったねえ」と声をかけると、嬉しそうに笑うCちゃん。しかしすぐに「でもちょっと怖いから、お外まで一緒に来てくれる?」と頼んできたのです。

園児時代はいつも仲間がいた幼稚園も、残業時間は先生しかいない静かな場所。心細さを感じるのも当然だと思い、「うん、門まで一緒に行こう。小学校でのお話、聞かせて」と返しました。

するとCちゃんは返事をせず、すたすたと先を歩き始めたのです。私は外履きに履き替える間もなく内履きのまま小走りで追いかけました。

制服姿

追いかけながらふと気づいたのです。「あれ? Cちゃん、小学生のはずなのに園児の制服のままだ」そう思う間に門の外へ出ると、そこにCちゃんの姿はありません。代わりに、ランドセルを背負った女の子と男性が自販機の近くに立っているのが見えました。私は咄嗟に「Cちゃん!!!」と叫びました。

その瞬間、男性は走って逃げ、ランドセル姿の女の子――まさしくCちゃん本人が泣きながら私の元へ駆け寄ってきたのです。

SOS

震えるCちゃんを抱きしめると、「大丈夫?」「大丈夫。でも話しかけられて怖かった。何を言っても帰してくれなかった」と涙ながらに語りました。急いで園に戻り園長が警察へ通報し、Cちゃんは無事に帰宅できました。

あの時、私が見た園児姿のCちゃんは一体何だったのでしょう。生霊だったのか、幻だったのか。ただ、幼稚園時代から信頼してくれていた先生への不思議なSOS信号が、彼女を危険から救ったのは確かです。

園児姿のCちゃんとランドセル姿のCちゃん。卒園から時は経っても、先生を信じる心が形を変えて届いたSOS。信頼関係の大切さを改めて教えてくれました。

【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2026年1月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。

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