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かつては引っ越してきたらまず両隣、マンションであれば下の階の住人にも挨拶に伺うのが主流でした。しかし物騒な昨今。防犯上、あえて引っ越しの挨拶をしない、という選択を選ぶ方も増えてきています。今回はそんな引っ越しの挨拶にまつわる、友人のエピソードです。ある日、隣に何者かが越してきて……

何気ない日常

昨年、私は賃貸マンションに暮らしていました。ある日、隣に新しい住人が越してきたようでした。特に挨拶はなくどんな人が越して来たのかは分からず。最近は物騒な世の中だからか、引っ越しの挨拶をしない人も多いと聞いていたので、私は特に気にせず日常を続けていました。

チャイムを連打

ところが引っ越しから二週間ほど経ったある晩、玄関のチャイムが激しく鳴り響きました。当時、私はオートロックのマンションに住んでいたのですが、ロビーではなく、玄関のチャイムが鳴るということは、玄関前に人が立っていることを意味します。チャイムが連打され、私は恐怖でインターホン画面すら確認できません。

やがて「隣に越してきた〇〇ですけど!!!」という大声が響き、仕方なくドアを開ける決心。「騒音クレームかな? 今までそんな経験ないけど……」と思いながら、スマホを手に、いつでも110番を押せるように備えながら、震える手で扉を開けたのです。

怒りの理由

ドアを開けるや否や、「なんでずっと居ないんですか?!?!」と怒鳴られ、私は思わず「はい?」と口に出してしまいました。話を聞けば、隣人は引っ越して以来、毎日私の部屋を訪れて挨拶を試みていたものの、いつも不在だったとのこと。その積もり積もった苛立ちが爆発した瞬間だったのです。

「挨拶もしない失礼な奴だと思っただろ! でもこっちは毎日来てたんだ!」とすさまじい剣幕でまくし立てる隣人。私は「そんなこと微塵も思っていません。ご丁寧にありがとうございます」と震える声で応じました。

すると態度は一変し、「ご迷惑をおかけすることもあるかもしれませんが、何卒よろしくお願いします」と深々と頭を下げ、乾麺の蕎麦を手渡してきたのです。そのパッケージには100円ショップのロゴが印字されていました。

確固たる決意

扉を閉め、施錠した私は、胸のざわめきも、手の震えも抑えられませんでした。奇妙な挨拶劇に巻き込まれたことで、ここで暮らし続けることに不安を覚えたのです。ちょうど更新時期も近かったため、引っ越しを決意。更新と同時に新しい住まいへ移り、ようやく心の平穏を取り戻すことができました。

挨拶は人との関わりにおいてとても大切なもの。しかし一方的過ぎると、それは人を傷つける武器にもなりうる。挨拶の意味を改めて考えさせられたエピソードです。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年1月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。

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