人からの贈り物で困った経験がある方は多いことでしょう。ぬいぐるみや人形の類は、特に扱いに困るのではないでしょうか。今回はとある人からもらった、ウサギのぬいぐるみにまつわるエピソードです。
おばあさんとの出会い
私が幼い頃、家を建てるために半年ほど古い借家に住んでいました。その隣には一人暮らしのおばあさんがいて、毎日、私を本当の孫のようにかわいがってくれたのを覚えています。
半年が経ち、借家を出る日、おばあさんは手作りのウサギのぬいぐるみを私にプレゼントしてくれました。私はそれをとても気に入りましたが、母はおばあさんに感謝の気持ちでいっぱになのに、なぜだかそのぬいぐるみを気味悪く感じてしまったそうです。
大切なウサギ
新居での暮らしが始まり、すっかり途絶えたおばあさんとの交流。それでも私はウサギを大切にしていました。しかし、どうしてもそのぬいぐるみに対する不気味さを拭い去れない母。ある日、私は公園にウサギを置き忘れてしまいます。
帰り道の途中で、母は忘れたことに気づいたものの「これもいい機会」と思い、取りに戻らず帰宅。家に着いてウサギがないことに気づいた私は号泣し、結局公園に戻ることに。ところが公園や帰路、どこを探しても見つけることはできませんでした。
母の異変
翌日、母の両目が真っ赤に充血。それはまるでウサギのぬいぐるみの目のようでした。眼科に行っても原因は分からず、処方された目薬を使っても一週間経っても赤みは消えません。
母は「もしかしておばあさんの念が関係しているのかもしれない」と考え、意を決して借家へ。しかしそこにおばあさんの姿はなく、家にも生活の気配はありませんでした。
忘れられない一瞬
やがて母の目の充血は少しずつ治まり、私もウサギのことを忘れていきました。数十年後、母が偶然かつての借家近くを車で通ったとき、あのおばあさんがウサギのぬいぐるみを抱いている姿を見たそうです。車窓からの一瞬の景色で見間違いかもしれません。ですが確かに目が合ったと感じた母は、その生気のない視線に全身を縛られたような恐怖を覚えたと――
その瞬間のぞっとする感覚は、今も忘れることはできないと母は語ります。そしてさらに不思議なことに、この事を誰かに話すと、翌日、母の目は決まって充血するのです。
【体験者:30代・主婦、回答時期:2026年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。

