広がるデスク侵食とストレスのピーク
隣の席だった大村さん(仮名)のデスクは、いつ見てもカオスでした。原稿や参考資料、飲み終えたペットボトルやゴミまでが机から溢れ、気づけば私のデスクにまで侵食してくる始末。
最初は口で「片づけてくれないなら、私が処分してもいいですか?」と伝えましたが、彼はいつも「あとで片づけるね」の一言で終わらせるだけ。
締切が近づくにつれて机の上はさらに混沌を極め、私の作業スペースは日に日に狭くなり、ストレスはピークに達していました。
言葉で届かず、紙に託した覚悟
何度注意しても改善されず、打つ手も尽きた私は、気が引けながらも苦肉の策として、机の境目に大きな紙を貼りました。
「今週中に片づけてください。片づけてもらえない場合、こちらで全て撤収します」半分冗談、半分本気のつもりでしたが、書いた文字には無意識に本気の覚悟が込もっていました。
カオスから一転、整頓されたデスク
翌朝出社すると、大村さんのデスクは見違えるほどきれいになっていました。原稿や資料は整頓され、ペットボトルやゴミもきちんと片付けられています。
「片づけといたよ~! 撤収されたらまずいからね!」と誇らしげに笑う大村さん。その表情には、彼なりの責任感と満足感が漂っていました。
小さな行動が大きな変化を生む
それからというもの、大村さんは毎週金曜日に必ずデスクを整えるようになりました。「週末にリセットしないと落ち着かなくなって」と笑いながら話す姿を見て、あの張り紙は決して無駄ではなかったのだと実感しました。
おかげで、気持ちよく仕事ができるようになっただけでなく、大村さんへの気持ちも穏やかで心地よいものになったのです。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2023年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:miki.N
医療事務として7年間勤務。患者さんに日々向き合う中で、今度は言葉で人々を元気づけたいと出版社に転職。悩んでいた時に、ある記事に救われたことをきっかけに、「誰かの心に響く文章を書きたい」とライターの道へ進む。専門分野は、インタビューや旅、食、ファッション。

