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これは脱毛サロンに勤務する私のお客様の実体験です。お客様は毎回、高校生になる娘さんとご来店してくださっているとても仲良しな親子なのですが、そんな二人にはちょっと不思議なエピソードがあったのです。

ずっと夢だった絵本

私には、子どもの頃から大好きな絵本があります。いつか自分の子どもにその絵本を読み聞かせることが夢でした。

やがて母親になり、その夢は叶います。娘もその絵本を気に入ってくれ、寝る前に一緒に読む時間は私にとって宝物のようなひと時。私が子どもの頃の絵本なのでかなり古いものですが、大切に扱ってきたおかげで汚れも破れもない、美しいままの一冊でした。

冬のある日

ある年の冬、妹が生まれたことで娘は赤ちゃん返りの真っ最中。ある日、ほんの小さなことから口論になり、娘は「ママなんて大嫌い!」と叫びながら、私の大切な絵本のページをビリッと破ってしまったのです。

「なにしてんの!!」気づけば私は生まれて初めて娘を怒鳴っていました。娘も私も、いろんな感情が溢れて号泣。それ以来、その絵本を見ると胸が締めつけられるようで、押し入れの奥深くにしまい込んでしまいました。

初めてのバイト代で

時は流れ、娘は高校1年生に。クリスマスの朝、娘は照れくさそうに「今日は彼氏と過ごすから先に渡しておくね。あとで開けて」とプレゼントを置いてそそくさと出かけていきました。

包みを開けると、中には新品のあの絵本。娘が自分のバイト代で買ってくれたものでした。もう娘は家を出ていて、涙で歪む視界の中、ありがとう、と呟き私は押し入れへ。

二冊の絵本

押し入れの奥にしまった絵本を新品と比べると、どれだけ丁寧に保管していたとはいえ、やはり年季の差は歴然。深呼吸をして、あの苦い思い出のページを開いてみると、なんと、破られていたはずのページが、きれいなままそこにあったのです。記憶違いかと思い、何度もページをめくり直しましたが、そのページは私が絵本の中で一番好きだった場面。間違えるはずがありません。

不思議に思いながら絵本を逆さにすると、バサッと一枚の折り紙が落ちてきました。それは、娘が幼いころサンタに宛てて書いた手紙。「ままの ほんが もとに もどりますように」覚えたてのひらがなで、一生懸命書かれた願い。その瞬間、涙が止まりませんでした。

娘の願いがサンタに届いたのか、それとも産後の寝不足で私が勘違いしていたのか。真相は分かりません。でも今、私の家には大好きな絵本が二冊、並んで飾られています。どちらも、私にとってかけがえのない宝物です。

【体験者:50代・女性・主婦、回答時期:2025年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中

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