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学生時代のソワソワする行事のひとつ、個人面談。自分も同席できる三者面談とは異なり、個人面談は自分抜きの先生と親のみ。どんな会話をしているんだろう、と親の帰宅を待っていた経験がある方も多いかと思います。しかし、ソワソワしているのは子供だけではないのかもしれません……。

ある日の学校で

ある日の、息子の小学校での個人面談当日。私は指定された時間より早く着いてしまったので、息子の教室周りの掲示物を眺めながら時間を潰すことに。同じように、予約時間を待つ保護者が数人ほど廊下にいました。

ところが、自分の時間になっても一向に呼ばれません。不思議に思って予定表を見返すと、なんと私の面談日は翌日の同じ時間。勘違いして1日早く来てしまったのです。私は翌日改めて来ることに。

同じミスをした保護者

翌日も余裕をもって学校へ向かい、昨日と同じように廊下で時間を潰していると、昨日も見かけた保護者の方と目が合ったのです。「もしかして私、不審者だと思われてるのでは」と焦った私は「こんにちは、〇〇の母です。日にちを間違えてしまって、二日連続で来ちゃいました」と声を掛けました。

すると彼女は笑顔で「そうなんですね、実は私もなんです~ほんとそそっかしくて」と返してくれ、一安心する私。自分の面談の時間まで談笑してから別れました。

帰宅後、そのことを息子に話すと「誰の親?」と聞かれ、そういえば名前も学年も聞いていなかったことに気づきました。

三日連続

さらに翌日。息子が塾の大事な宿題を学校に忘れてきたと言い出しました。普段クールな息子が半泣きで「一緒に取りに行って」と頼むので、しぶしぶ三日連続で学校へ行くことに。すると、廊下には昨日話した女性の姿が。急いでいた息子は、内履きを履かず靴下のまま走り、滑って彼女にぶつかってしまいました。

その拍子に彼女の持っていたメモが床に散乱。「すみません!」と謝りながら拾い集めていると、ふと目に入ったメモの内容。それは、クラス全員の名前と、「中学受験をするか」「志望校はどこか」が細かく書かれたものでした。

あ、個人面談の内容、立ち聞きしてたんだ――と瞬時に悟る私。それに気づいたのか、彼女は一心不乱にメモを回収し、無言でその場を走り去って行きました。

盗み聞きのその後

息子に「あの人、誰の保護者?」と聞くと「△△の親だと思う。よく学校にいるよ」とのこと。私は息子を塾に送り届けたあと、すぐに学校へ一連の出来事を報告。

後日、彼女は学校に呼び出され、盗み聞きを認めたそうです。ただし彼女はPTA会長で、「今後の学校のために統計を取っていた」と主張し続けたとか。それ以来、個人面談の待合廊下には警備員や担任を持たない先生が巡回するようになり、再発防止が徹底されました。

受験情報を集めて、いったい何をしたかったのか。あれ以来、盗み聞きはぴたりと止みましたが、今でもぎっしり細かい文字で書かれたメモをふと思い出すことがあり、その度に背筋がゾッとしてしまうのです。

【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。

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