防犯対策はしっかりと
会社の戸締りに関しては、防犯のため警備会社と契約しています。鍵を開けたら必ず「ピーピー」と警報音が鳴る仕組み。すぐに専用のカードキーを差し込めば鳴り止むので、社員は慣れたものです。
その日は私が、会社の鍵開け当番でした。早朝、眠い目をこすりながら会社へ向かいます。いつものように鍵を開け、しっかり鳴りだす警報音。いつものようにカードキーを差し込もうとした瞬間、事件は起こりました。
不運が重なる
うっかり手をすべらせて、カードキーを落としてしまったのです。落ちた先は、よりにもよって戸棚のすき間。手は差し込めず、戸棚自体も重くて動かせません。止められない警報音は激しさを増し、最終的に警備会社へ自動通報されてしまいました。
うっかりが思わぬ事態に
慌ててこちらから警備会社に連絡するも、簡単に信用してもらえるはずがありません。パニック状態でしどろもどろな受け答えのまま、とにかく必死で電話口の相手に叫びました。
「決して、怪しい者ではないんです!」電話口の相手からすると、そのセリフを発する私は「怪しい奴」以外の何者でもなかったと思います……。
いい大人なのに、恥ずかしい
結局、警備会社のスタッフが会社へやって来る事態に。身分証を提示したり、連絡を受けて駆けつけた上司が会社との関係性を証明してくれたりして事なきを得ました。
いい大人が、鍵開けひとつで大勢の人を巻き込んでしまって申し訳ない……。何とも言えない情けなさで、しばらく落ちこみました。
毎回、気分はスリリング
それ以来、私はネックストラップ付きのケース入れを愛用しています。これで、うっかり手をすべらせても落っこちたりはしないので安心。……とは言うものの、あの日の出来事はかなりのトラウマに。そんなわけで鍵開けの瞬間は、今でもドキドキしてしまいます。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2023年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:S.Takechi
調剤薬局に10年以上勤務。また小売業での接客職も経験。それらを通じて、多くの人の喜怒哀楽に触れ、そのコラム執筆からライター活動をスタート。現在は、様々な市井の人にインタビューし、情報を収集。リアルな実体験をもとにしたコラムを執筆中。

