妊娠を知った義母の第一声
第一子の妊娠を報告したとき、義母は本当に喜んでくれました。「まぁ! おめでとう!」と満面の笑顔を浮かべていたのを覚えています。
けれど予定日が3月だと伝えた瞬間、表情が少し曇り、「えっ……早生まれ? 可哀想に! 4月が良かったのに」とひとこと。私はその場で軽く固まってしまいました。(え、可哀想……? 別にそんなふうに思ったことなかったのに)と、胸の奥がざわついたのです。
義母からの“不安”ワードにざわざわ
それからも義母は会うたびに、「体格差つくのよ」「大丈夫かしらね」と“心配ワード”のオンパレード。悪気がないのは分かるのですが、そのたびに小さくモヤモヤが積み重なりました。
夫にそれとなく相談してみても、「母さん、昔の人だからさ。真に受けなくていいよ」と返されるだけ。(うーん、気にするなって言われても……)と、複雑な気持ちを抱えたまま出産の日を迎えました。
誕生した孫を前に、義母は……?
無事に出産し、義母が病室に来てくれたとき、初めて孫を抱いた彼女はじんわり涙ぐんでいました。その姿に私も胸がいっぱいになりました。そして翌日から、義母の発言が一気に変わりはじめたのです。
「早生まれでもこの子は天才になるわね!」「月齢差なんて小さいうちだけよ、こんなに元気なら全然心配なかったね〜!」
(あれ? あの“可哀想”はどこへ……)と拍子抜けしたけれど、孫を前にした義母の表情は嘘がないものでした。子どもを愛おしそうに抱きしめる義母を見て、私のなかのモヤモヤもふっと軽くなっていくのを感じました。
成長は、子どもそれぞれのペースで
その後も義母は会うたびに、「この子はこの子のペースで育つわよ〜!」と嬉しそうに声をかけてくれます。早生まれ云々ではなく、目の前の子ども自身をちゃんと見てくれていると感じるようになりました。
最初の頃は義母の言葉に落ち込んだ日もありましたが、今ではすっかり穏やかな関係です。あのときの“余計な心配”も、孫を抱いた義母の溢れる愛情の前ではびっくりするほど軽く消えて、笑い話にできるようになりました。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。

