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クリスマスプレゼントは何歳になっても嬉しいもの。それが愛する人からだったら尚更です。今回はクリスマスプレゼントにまつわる私の実体験をご紹介します。急逝した祖父から残されたプレゼントは、なぜか祖母の分だけなく……。

祖父の他界

数年前の12月、私の祖父が急に他界。心筋梗塞による突然の別れで、憔悴しきってしまった祖母。遺品整理もまったく手つかずの状態で、年末年始に子供たちを連れて祖母の家に泊まりに行ったときも、いつも元気な祖母がすっかり弱っている姿に胸が痛みました。

かくれんぼをしていたら

そんな私の心配をよそに、子供たちは「かくれんぼしていい?」と元気いっぱい。広い祖母の家で走り回る姿に、祖母も少し笑顔を取り戻した様子。すると突然、息子が「あったー!」と声をあげ、使われていない部屋の押し入れから、クリスマス柄の包装紙に包まれたプレゼントを見つけたのです。

祖母に許可を得て開封すると、それは祖父から母や私、そしてひ孫たちへの贈り物でした。思わず涙があふれましたが、祖母へのプレゼントだけ見当たりません。

見つからない祖母へのプレゼント

子供たちが「ひいばあの分だけないね」と不思議がると、「みんなの笑顔が見られたから、それが一番のプレゼントなんだよ」と少し寂しげに答える祖母。昔ながらの亭主関白だった祖父ですが、祖母にだけ贈り物をしないとは考えにくいと感じ、私は部屋を探しましたが見つかりませんでした。

数日後、庭で遊んで靴を濡らしてしまった私。祖母に「下駄箱のものを履いていいよ」と言われてサイズが合いそうなものを探していると、下駄箱の奥に茶封筒と通販のチラシを発見。そこには肩こりに悩む祖母が欲しがっていたマッサージクッションに大きなマルがつけられており、封筒にはその代金が入っていたのです。

祖父の愛

祖母にそれを見せると、涙を流しながら「本当に欲しかったものなの」と語ってくれました。祖父は祖母へのプレゼントを準備中に急に亡くなってしまったのだと悟り、私は祖父に代わって急いで注文。

後日届いた真っ赤なマッサージクッションは祖母の椅子に置かれ、毎年祖母の家を訪れるたびに目に入ります。その鮮やかな赤を見るたび、祖父の深い愛情を感じずにはいられません。祖父は言葉少ない人でしたが、最後まで祖母を愛していたのだと、私は強く心に刻んでいます。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。

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