今回のエピソードは、5年越しに私の娘に起きた出来事です。日々の育児の中で、それほど気に留めていなかったことが、時を超えて意味を持ったものだと知り、驚いてしまったお話をご紹介します。
お絵描きに現れた見知らぬ名前
私の娘は幼い頃からお絵描きが大好き。4歳のある日、娘が友達と遊んでいる様子を描いた絵を見せてくれました。説明を聞いていると「これは〇〇ちゃん、これは△△ちゃん、これはまかちゃん(仮名)」と言うのです。
聞き慣れない名前に「幼稚園のお友達?」と尋ねると、娘は「学校の友達」と答えます。当時は習い事もなく、幼稚園以外で友達を作る機会はなかったため、私は誰かのお姉さんか年長クラスの子だろうと深く考えませんでした。
繰り返し登場する“まかちゃん”
その後も、娘の絵にはたびたび「まかちゃん」が登場。時には家族の絵の中にまで描かれていて、私の中では不思議な存在として記憶に残っていました。けれど娘自身は自然に説明するだけで、特別な意味を持たせている様子はありませんでした。私はただ「子供の想像力は豊かだな」と思いながら特に気にも留めず、見守っていたのです。
小学校にて
時が経ち、娘が小学4年生になった頃のこと。「友達を家に呼んでもいい?」と聞かれ、私は快諾。放課後にやってきたその子は礼儀正しく、靴を揃えて「お邪魔します」と挨拶しました。娘の部屋からは楽しそうな笑い声が響き、リビングで一緒におやつを食べて過ごしました。
夕方、迎えに来たお母さんがインターホン越しに「まかなの母です」と名乗った瞬間、私は驚きました。すっかり忘れていた“まかちゃん”が現実に目の前に現れたのです。
偶然なのかそれとも
まかちゃんのお母さんはとても感じの良い方で「いつも仲良くしてくれてありがとう」と言ってくださいました。私は思わず「幼稚園の頃からのお友達ですか?」と尋ねましたが、「4年生になってからだと思います」との回答。
2人の帰宅後、娘に幼い頃、“まかちゃん”の絵をよく描いていたの覚えてる? と尋ねてもハテナ顔の娘。実際に絵を見せても何も覚えていないとのこと。ただ「初めて会ったとき、初めてじゃないと思った。まかちゃんもそう言っていた」と話してくれました。
珍しい名前が4歳の絵に登場し、時を経て現実の友達になった偶然は本当にあるのでしょうか。私は今でもこの出来事を不思議に感じずにはいられません。そして娘は今日もまかちゃんと仲良く遊んでいます。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井 ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。

