ランチタイムの思わぬトラブル
ある日のランチタイム、店内はお昼どき特有の慌ただしい空気に包まれていました。次々と入るオーダー、鳴り続けるベル、厨房から聞こえるフライパンの音。そんな中、突然お客さんの声が響きました。「頼んだハンバーグが来ないんですけど!」不満げな一言に、店内の空気がピリッと張り詰めました。
スタッフが「申し訳ありません」と伝え、一旦お客さんは落ち着いたものの、少し焦りながら厨房から様子をうかがっていました。
社員の尋問!? 注文ミスをめぐる緊迫の一幕
そこへ、社員の清水さん(仮名)が颯爽と現れました。
「このオーダー取ったの、藤田くん(仮名)だよね?」
少し強めの声が店内に響きます。呼び出されたアルバイトの藤田くんは、目を丸くして慌てた様子で「え、僕じゃないです……!」と言い返しました。
必死に弁解するも、清水さんは眉間に皺を寄せ、まるで尋問のように問い詰め続けます。お客さんを含め、店内の空気はどんどん重くなっていきました。
店内静寂、ついに明かされた誤注文の真相
見かねて助けに入ろうとした、そのとき。テーブルに座っていたお子さんが、真剣な表情で一言。
「お兄さんじゃなくて、そのお姉さんが間違ったんだよ!」
静まり返る店内。清水さんは動けず、声も出ませんでした。まさに、真実が明るみに出た瞬間でした。
真実を告げた小さな証人
結局、清水さんの勘違いと責任転嫁はすぐに明るみになり、素直に謝罪。お客さんの表情にも笑顔が戻り、店内に再び穏やかな空気が流れました。「現場では、思わぬ一言で真実がスパッと明らかになることもあるんだな」と思いました。
それ以来、清水さんは以前より慎重になり、藤田くんも自信をもって業務をこなせるようになりました。
【体験者:30代・女性飲食店スタッフ、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:miki.N
医療事務として7年間勤務。患者さんに日々向き合う中で、今度は言葉で人々を元気づけたいと出版社に転職。悩んでいた時に、ある記事に救われたことをきっかけに、「誰かの心に響く文章を書きたい」とライターの道へ進む。専門分野は、インタビューや旅、食、ファッション。

