香水自慢が日課の同僚
私の職場に、30代半ばの男性社員がいました。彼は毎日違う香水をつけて出社し、しかも香りはかなり強烈。周囲に「今日は◯◯の新作なんだけど、わかる?」と得意げに話す姿を何度も見ました。
けれど正直、私を含め同僚たちは「今日も匂いがきついな」と感じていて、時には頭が痛くなることも。面と向かって言う勇気はなく、ただ我慢するしかありませんでした。
誰の目にも明らかな“お気に入り”
さらに彼には、職場で誰が見てもわかる“お気に入り”の女性社員がいました。入社2年目の若手で、飲み会があれば必ず彼女の隣に座り、楽しそうに話しかけています。休憩中も近くにいることが多く、同僚に「俺、あの子お気に入りなんだ」と話していたことも。
そのせいで周囲からは「付き合ってるの?」と噂が立つほど。ただ、彼女自身がどう思っているのかは知りませんでした。
酔った席で飛び出した本音
ある日の飲み会で、その答えが出ました。場が盛り上がっているとき、酔った女性社員が彼にこう言ったのです。「先輩、香水いっつも違いますよね?」彼はドヤ顔で「お、気づいてくれてたの? やっぱりわかる?」と嬉しそうに返しました。
ところが次の瞬間、女性社員の口から衝撃の一言。「だってめっちゃ匂いきついですよ!」場は一瞬静まり返り、その後大笑い。さらに彼女は「香水じゃなくて、柔軟剤のふわっと香るくらいの匂いが好きなんですよね〜」とさらりと言い放ちました。
彼は顔を赤らめ、しどろもどろに。普段の自信満々な姿とのギャップに周囲も驚き、なだめていました。
スメハラは誰にでも起こり得る
翌日から、彼の香水の量はわかりやすく控えめになりました。きっとあの場で、自分の行動が迷惑になっていたと気づいたのでしょう。
この出来事で、私は「香り」も立派な職場トラブルの要因になり得ることを実感しました。セクハラやパワハラほど目立たなくても、スメハラは確かに存在します。自分では良かれと思っていても、周囲からは迷惑になっていることもある。職場での人間関係を円滑にするには、香りひとつにも気を配ることが大切だと強く感じました。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2023年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:北山 奈緒
企業で経理・総務として勤務。育休をきっかけに、女性のライフステージと社会生活のバランスに興味関心を持ち、ライター活動を開始。スポーツ、育児、ライフスタイルが得意テーマ。

