「単身赴任だから」と同情されていた上司
私の職場に、東京本社から地方に転勤してきた40代の上司・Bさんがいました。
Bさんはよく「家族は東京にいるんだ」と口にしており、周囲も「単身赴任は大変ですね」と労いを込めて接していました。
ある日、Bさんが「別居手当があるから生活は何とかなるよ」と話しているのを偶然耳にしました。「生活は何とかなるって……?」と、やり取りの内容に違和感を覚えたのです。
実態は“もともと別居”だった
同僚との雑談で、だれかがぽろっと「Bさんって単身赴任の対象になるのかな?」とこぼしました。
すると、総務の社員が「東京にいた頃から奥さんとは一緒に住んでいなかったから、対象外のはずだけど」と教えてくれました。離婚はしていないものの、実は以前から“別居状態”だったのです。
制度上の「単身赴任」とは、本来は“家族と一緒に暮らしていた人が転勤をきっかけに離れて暮らすケース”が対象。つまり、Bさんは対象外だったのです。
「もらえるものは当然」と開き直り
後日、同僚の一人が思い切ってBさんに「それって対象外じゃないですか?」と指摘した場面がありました。するとBさんは悪びれる様子もなく、言い放ちます。
「もらえるものはもらうのが当然だろ」
さらに、「俺は離婚はしていないんだから、一緒に住んでいても住んでいなくてもバレないんだ」とまで。その開き直りぶりに、周囲は唖然。
信用を失ったBさんの結末
Bさんの言動をきっかけに、社内で不満の声が飛び交うようになりました。噂話は少しずつ広がっていき、ついに人事部の耳にも届いたのです。
人事が事実確認を行い、やはり対象外であることが判明。Bさんの“別居手当”は打ち切られることになりました。
本人は「ちょっと勘違いしてただけ」と笑ってごまかしていましたが、すでに周囲の目は冷ややか。
すっかり信用を失った姿に、私自身も「お金に関するズルは、結局隠し通せないんだ」と強く思わされたのでした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2024年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:北山 奈緒
企業で経理・総務として勤務。育休をきっかけに、女性のライフステージと社会生活のバランスに興味関心を持ち、ライター活動を開始。スポーツ、育児、ライフスタイルが得意テーマ。

