今ではたくさんの色、デザインから選べるようになったランドセル。新一年生のランドセル姿は誰もがほっこりするのではないでしょうか。これは、ショッピングモールに勤務する友人が体験した、ランドセルにまつわる驚きのエピソードです。
突然の捜索依頼
ショッピングモールのランドセル売り場で、ある日お客様から電話を受けました。内容は「試着のときに、ランドセルの中に忘れ物をした」というもの。
連絡をくれたのは、小学校への入学を控えた女の子のご家族。すぐに試着用のランドセルをすべて開けて確認してみましたが見当たりません。
忘れ物は、“おばあちゃん手作りの手のひらサイズのぬいぐるみ”。人気キャラクターなら盗難の可能性もありますが、その可能性は低いと感じる忘れ物でした。
ゴミ集積所まで捜索
「見た目がかなり古いので、ゴミと間違われるかもしれません」とお客様が不安そうに話されたため、スタッフ総出でゴミ箱をひとつずつ開けて確認しました。ついにはモール裏のゴミ集積所にまで足を運びましたが、やはりありません。
あちこち探しても見つからず、スタッフたちの表情には次第に疲労と焦りが滲み始めます。それでも「なんとしても見つけたい」という一心で、売り場全体が一丸となって捜索にあたりました。
1秒で見つけ出した娘さん
数時間後、電話をかけてきたご家族が直接売り場へご来店。娘さんが到着するなり、「あった~!」と大きな声をあげたのです。
スタッフ全員が振り向いた先には、なんと色見本用として展示されていた“手のひらサイズのミニランドセル”!
そこにぬいぐるみはちょこんと収まっていました。思わぬ場所からの発見に、安堵と笑いが一気に広がります。娘さんの満面の笑みを見て、疲れていたはずのスタッフも、すっかり癒やされたのを覚えています。
後日届いた心温まる手紙
数日後、売り場に一通の手紙が届きました。そこにはランドセルを背負う娘さんの後ろ姿の写真が同封されており、ランドセルには、あのぬいぐるみがしっかりとついていました。
手紙の最後に「撮影用にランドセルにつけていますが、普段は家に置いてあります。もう二度となくさないようにします」と添えられていました。探し回った一日を思い出しながら、その文面にスタッフ一同、再びあたたかい気持ちに包まれました。
【体験者:30代・女性・会社員、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。
 
				
				

 
							 
							 
							