思わず驚いた初対面
私は、建設会社の事務員として日々たくさんのお客様を迎えます。
ある日、「はじめまして」と訪ねてきた男性には思わず驚かされました。白いヨレヨレのTシャツに短パン姿、そして軽トラックで来社されたのです。
汗をかきながら明るい声で「こんにちは!」と入ってこられた姿は、どこにでもいそうな気さくなおじさん。私は普段通りに丁寧に接客を行い、営業担当へと取り次ぎました。
耳打ちされた衝撃の正体
そのとき、近くにいた先輩社員が小声で「ちょっと! あの方、すごい人なんだよ」と教えてくれました。理由を聞くと、その男性は地元で何社も会社を経営している大富豪だというのです。
仕事柄、豪邸を建てる相談に訪れる方や会社経営者の方など、いわゆる「お金持ち」と呼ばれるお客様と接することは珍しくありません。普段見慣れていた「高級車で来社し、ブランド物を身につけた社長」とは真逆のお客様の姿に、頭がついていきませんでした。
打ち合わせで感じた迫力
その後の打ち合わせでは、豪邸を建てるプランを迷いなく次々と決めていく姿に圧倒されました。金額の大きな話にもためらいがなく、専門的な用語もスラスラ。まさに経験と実績を積んだ“大物”の風格を感じました。
それでいて、事務員である私にまで「丁寧に対応してくれてありがとうね」と優しい言葉をかけてくださるのです。
私はその一言に、緊張がふっとほぐれて思わず笑顔になりました。大金持ち=高圧的という勝手なイメージが一気に覆され、「こういう人こそ本物なんだ」と強く感じたのを覚えています。
外見ではわからない本質
外見からは到底想像できないスケールの大きさ。豪快さと謙虚さを兼ね備えたその方との出会いは、「本当のお金持ちってこういう人なんだ」と強く印象に残りました。
改めて、どんなお客様も外見だけで判断せず、誠実に対応することを心に決めたのです。
体験者:30代・女性会社員、回答時期:2024年4月
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:北山 奈緒
企業で経理・総務として勤務。育休をきっかけに、女性のライフステージと社会生活のバランスに興味関心を持ち、ライター活動を開始。スポーツ、育児、ライフスタイルが得意テーマ。

