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会社の飲み会での何気ない一言が、思わぬ展開を呼び込むことがあります。結婚や家庭の話題が「冗談」として扱われることも少なくありませんが、その裏には本人の複雑な事情が隠されていることも――。ある女性社員が体験した職場でのハラスメントと、その後の意外な結末をご紹介します。

面接での一言から始まった違和感

ある会社に入社した30代の佳奈さん(仮名)。
面接時に「結婚しているのか」「今後の予定はあるのか」といった、業務とは関係のない質問を受けました。「今時そんなことまで聞かれるのか」と少し疑問に思いながらも、当時は結婚の予定がなかったため「ありません」と答え、無事に採用されます。

繰り返される“飲み会のネタ”

入社後しばらくして佳奈さんは結婚。
しかし飲み会の席では課長から「結婚の予定はないって言ってたのにね〜」と、毎回のように話題にされました。しつこさに嫌気がさしつつも、場をしらけさせないために苦笑いで受け流していましたが、内心は「またか」と疲弊していきます。

静かな一言で崩れた思い込み

そんなある日、課長が別の社員に向かって「田島さん(仮名)は独身でいてくれるから、人が減らなくて助かるよ」と軽口を叩きました。すると田島さんはグラスを置き、静かに「独身ではないですけど」と返したのです。
その場は一瞬凍りつきました。驚いた課長が「えっ、結婚してたの?なんで言わないの」と慌てて聞き返すと、田島さんは冷静に「聞かれてませんし、言ったらまたネタにするでしょう」と言い切りました。
しかも相手は同じ会社の部長。旧姓のまま仕事をし、指輪もしていなかったため、誰も気づいていなかったのです。

赤面する課長と心に残った教訓

課長は顔を真っ赤にして「いや、その……」と口ごもり、笑いに変えようとしても空回り。動揺のあまりグラスのビールを倒し、テーブルにこぼしてしまう始末。
周囲の社員は気まずさと同時に「これはさすがにまずい」と察しました。会社は後日事態を重く受け止め、課長にハラスメント研修を受けさせることに。以来、彼は家庭や結婚に関する話題を一切口にしなくなりました。
この一部始終を見ていた佳奈さんは、胸のつかえが下りる思いがしたといいます。
「冗談だから」で済まされないものがあることを、課長自身が身をもって学んだ瞬間でした。佳奈さんは「人の人生に踏み込む発言は、軽い言葉でも凶器になる」と深く感じたそうです。

【体験者:30代・会社員、回答時期:2023年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Tomoyo.H
郵便局や年金機構、医療法人の管理部門を歴任。これらを通して、働く人の労務問題や社会問題に直面。様々な境遇の人の話を聞くうちに、そこから「自分の言葉で誰かの人生にいいきっかけをもたらせたら」と、執筆活動をスタート。得意分野は、健康や自然食、アウトドア。

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