毎日同じものを買いに来る男性
私の働くドラッグストアには、毎日のように軽トラでやってくる中年の男性がいました。レジに持ってくるのは、牛乳と豆腐とタバコ。いつもこの3点セットです。まるでお約束のようで、レジに並ぶたび「今日も変わらずだな」と内心ほほえんでいました。
気になった一言
ある日、その男性が買い物を終えて店を出ていった後のこと。常連のお客さんである田中さん(仮名)が、窓の外をじっと見つめています。男性が軽トラに乗り込む姿を見て「車で来てるの?」とポツリ。独り言のようだったので、私は笑顔でスルーしましたが、ちょっと引っかかる言葉でした。
駐車場での異変
数日後も、男性がいつも通り買い物にやってきました。そして時を同じくして、駐車場に何台ものパトカーが入ってきたのです。男性が買い物を終え、軽トラへ向かうと、警官たちが一斉に降りてきて取り囲みます。店内からその様子を見ていた私は、思わず「え、何事?」と心の中で叫んでしまいました。他のお客さんたちもざわついています。
驚きの事実
その直後、またも田中さんがレジにやってきました。そして小声で爆弾発言。「あの人、無免許なの。飲酒運転で免許取り消しになったのに、まだ乗ってるんだよ」まさかの事実に思わず「えぇっ!」と声を出してしまいました。さらに田中さんは、「この前この店で軽トラに乗ってるのを見てね、『危ないから』って近所の人たちと話して警察に相談したの」と淡々と語ります。毎日同じ時間に来て同じものを買う男性に、そんな裏の顔があったとは思いもよりませんでした。
小さな行動が信頼を決める
田舎だから隠し通せる――そう思っていたのかもしれません。しかし実際には、近所の人たちはしっかりと見ていて、声を掛け合っていました。小さな隠し事が積み重なれば、いずれ大きな形で露呈する。まるで「自分だけは大丈夫」と思った瞬間に罠が閉じるように。日頃の小さな行動が、人からの信頼を得るか、それとも失うかを決めてしまうのだと実感した出来事でした。
【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。