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世の中にはさまざまなタイプのお客様がいます。中には「もう早く帰って〜」と、心の底から願いたくなるお客様に出会うなんてことも……。今回は、銀行で働く私の友人が体験したエピソードをご紹介します。

ダメ出しの嵐

窓口に「印鑑を変更したい」と50代の女性が来店されました。
いつも通り手続きを進めていると、お客様が手続きに関係のない質問を投げかけてきたのです。

「昨日の米ドルのレートは?」
「一昨日の日経新聞の一面記事のタイトルは?」
「このニュースを見て、今後の経済の動向をあなたはどう思う?」

こちらを試すような質問に、私はだんだんと苦痛を感じてきました。
しかも、即答できないと「あなた、そんなことも知らないのに窓口にいるの?」「そんなんじゃ一人前の銀行員とは言えないわね」「これだから、最近の若い銀行員はダメねぇ」と、ネチネチ攻撃してくるのです。
意地悪な物言いに私はすっかり疲れ切ってしまいました。

なかなか帰らないお客様

ようやく手続きが完了し、退店を促しても窓口から一歩も動かないお客様。

「まだ確認したいことがあるの」
「お客様に説明するときの手の使い方はこうでしょ!」
「そんなキャラクター付きのボールペンなんて使っちゃダメよ」

止まらない指摘に私はもうタジタジ。「お願いだから、もう早く帰って~」と、心の中で願っていた時でした。

実は昔からの知り合い

「あれ? おお、〇〇じゃないか! 久しぶりだな。ところで、ここで何してるんだ?」と、私の背後から上司が登場! なんとそのお客様は元当行職員で、上司とは知り合いだったのです。
上司を見た途端にお客様の目は泳ぎ出し「あ、あの、いや……ちょっと……」と、しどろもどろに。

形勢逆転

上司は状況を知ってか知らずか、笑顔で思い出話を続けます。

「君も若い頃はいろいろやらかして大変だったよな」
「キャッシュカードの処理を間違えて使えなくさせちゃった時はこっぴどく怒られたよな」
「あ、そうそう。一緒にお客様の自宅まで頭を下げに行ったこともあったよな」

恥ずかしい過去を次々と暴露され、お客様の顔はみるみる真っ赤に!

「そ、そんな時代もありましたよね」と急にしおらしい態度に変わったかと思えば、「用事があるから失礼するわ」と言って、そそくさと退店されました。
上司に感謝すると同時に、「ああいう先輩にはならないぞ」と密かに心の中で誓ったのでした。

【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2025年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:島田歩実
元銀行員として、女性のキャリアやお金にまつわるあれこれを執筆中。アメリカへの留学経験もあり、そこで日本社会を外から観察できたこともライターとしての糧となる。現在はSNSなどを介してユーザーと繋がり、現代女性の声を収集中。

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