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これは出版社で働いていた頃の出来事です。初めての商談に胸を高鳴らせていたものの、そこには思いがけない事態が待っていました。今回は、まさにコミュニケーション能力が問われた瞬間のエピソードを紹介します。

突然訪れた「ひとり商談」の試練

ある日、私が初めて商談に同席したときのこと。
上司と一緒にクライアントを迎える予定でしたが、道が渋滞しているとの連絡が入り、上司の到着は1時間後になるとの知らせがありました。

仕方なく、私は商談相手の担当者と二人きりで待つことに。正直、心の中は「このまま1時間、どうやって話をつなごう……」と不安でいっぱいでした。
名刺交換を済ませ、軽い雑談で場をつなごうとしましたが、どこかぎこちなく、沈黙の時間が目立ちました。

質問と共感で築いた会話の時間

そこで私は考えました。
「ただ時間を埋めるだけではなく、この1時間を意味のある時間にしよう」と。
担当者の興味や仕事のことを引き出す質問を投げかけ、相槌や共感を意識して会話を進めました。

「最近のプロジェクトでは、どんなことに力を入れていますか?」
「今取り組んでいるキャンペーンは、こういう内容なんです」
「なるほど、面白いですね! 進めるうえで工夫している点はありますか?」

そんな会話を重ねるうちに、担当者の表情が少しずつ柔らかくなるのを感じ、会話に笑いも生まれたのです。最初は苦痛に感じていた1時間が、次第に会話のキャッチボールを楽しむ時間へと変わっていきました。

沈黙を笑顔に変えたキャッチボール

上司が到着する頃には、担当者の表情はすっかりリラックスしていました。
最初はぎこちなかった会話も、自然なキャッチボールに変わり、笑顔や冗談も交わされます。

「この企画、実際にやってみると面白そうですね」と担当者。
「ありがとうございます。こういう方法で進めると、さらにやりやすくなると思います」と私。

最初の沈黙や気まずさは消え、商談の空気は温まり、打ち合わせはスムーズに進みました。
小さな努力の積み重ねが、信頼関係を築くきっかけになったのです。

短い時間で生まれた信頼と成果

後から上司に「よくフォローしてくれたね」と褒められたとき、私は自分のコミュニケーション能力が発揮できたことを実感しました。短い時間の中で相手の興味を引き出し、会話のキャッチボールを楽しめた経験。
地道な努力や気配りの積み重ねが、思わぬ成果へつながる瞬間になるのだと、ビジネスの醍醐味を感じた出来事でした。

【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2023年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:miki.N
医療事務として7年間勤務。患者さんに日々向き合う中で、今度は言葉で人々を元気づけたいと出版社に転職。悩んでいた時に、ある記事に救われたことをきっかけに、「誰かの心に響く文章を書きたい」とライターの道へ進む。専門分野は、インタビューや旅、食、ファッション。

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