交流が続いていた義母
長男と次男は前の夫との子ども。元夫はモラハラ気質だったことで離婚に至りましたが、義母は私を本当の娘のように可愛がってくれていました。地元に戻ってからもお米を送ってくれたりと、交流は続いていたのです。「いつかまた会いたいね」と話してきた十数年。その機会がついに訪れました。
旅行を兼ねた再会計画
長男の高校卒業を控えた冬休み。現夫が「旅行がてら、兄ちゃん達をおばあちゃんに会わせに行こう」と提案してくれたのです。下の子ども達も大喜びで賛成。
車で6時間の距離を現夫は文句も言わず、むしろ楽しそうに運転してくれました。義母もホテルを手配してくれたり、再会を心待ちにしてくれているのが伝わってきます。
気がかりだったのは元夫のこと。「もしかしたら来るのでは……」と不安だったのですが、義母の「タカ(元夫・仮名)は仕事だから来ないよ」という言葉に安心していました。
涙の再会の後に待っていたのは
玄関先で義母と抱き合い、兄ちゃん達とも涙の再会。思い出に話が咲きました。
「この子達を育ててくれて本当にありがとう」と現夫に頭を下げる義母。その温かさに胸が熱くなりました。
久しぶりの義実家に入り、兄ちゃん達の小さい頃のアルバムをみんなで見ていると、買い出しから戻った義父もやってきました。「ご無沙汰しています」と頭を下げようとした瞬間、義父の後ろから現れたのは――まさかの元夫!
元夫に笑顔で接する兄ちゃん達
「おぉ、大きくなったな!」と兄ちゃん達に声をかける元夫に、「はい!」とにこやかに答える2人でしたが、元夫が席を離れるやいなや、私に向かって「誰!?」と口パク。思わず「元旦那!」と口パクで返すと、2人は揃って「ひぇ~」と顔を見合わせました。
カオスな昼食会
現夫と元夫、元義父母、そして4人の子ども達……。どう考えても“異例の顔合わせ”で始まった昼食会。最初は変な緊張感が漂っていましたが、義母の美味しい手料理と買ってきてくれたお寿司を食べるうちに、徐々に笑い声が増えていきました。子ども達も「なんだこの状況(笑)」と半ば楽しそうに小声でツッコミを入れてくる始末。
結果的に、不思議と和やかな時間になっていきました。後で義母はそっと、「ごめんね。タカ、どうしても会いたいからって急きょ休み貰ったらしくて」と教えてくれました。
人とのつながりは消えない
義父母と別れ、帰り道で夫は「来てよかったよ。兄ちゃん達の祖父母が温かい人で安心した」と言い、兄ちゃん達も「俺達のルーツが知れてよかった」と喜んでいました。思わぬ乱入もありましたが、結果的に家族の絆やご縁の強さを改めて感じる機会に。
家族の形は変わっても、人とのつながりは簡単に消えるものではないのだと実感した出来事でした。
【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。