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これは、当時銀行に勤めていた私の先輩から聞いたエピソードです。入社10年目になり、ほとんどの案件は1人でこなす自信があった先輩。しかしそんな先輩でも、異動したばかりの支店で立て続けにミスをしてしまい、さすがに落ち込んでしまったことがあったそうです。

大きなミスを連発して、自信喪失

「昨日も今日もミスをして、みんなに迷惑をかけちゃった……」慎重に処理をしたはずなのに、すべてが裏目に出てしまい、思い出すたびに悔しさと悲しみが込み上げます。

「まだ慣れない支店だし、初めての処理だったもんね。そんなに落ち込まないで」と、上司や先輩が優しく声をかけてくれるのですが、その優しさが余計に沁みて涙が出そうに。

もうこれ以上、我慢できない

「どうしよう……人前で泣くわけにはいかない」
そう思った私は、トイレ休憩に行くと告げると急いでその場を離れました。そしてゆっくり泣ける場所を探し、たどり着いたのは誰も使っていない2階の1番奥にある会議室。

「ここならきっと泣いてもバレないはず」ーー少し錆びついたドアノブを開け、会議室の隅っこに小さくうずくまりました。
その瞬間、ずっと我慢していた涙が一気に溢れて収まらなくなりました。ハンカチかティッシュを持ってくるべきだったと後悔した瞬間。

振り返ると

カタッ。

急な物音にびっくりして振り返るも、そこには誰もいません。ただ、ポツンと古びたボックスティシュがテーブルの上にあるだけです。「こんなところにティッシュなんてあったかな?」と、不思議に思ったものの、ありがたく使わせてもらうことに。

ボックスティッシュを片手に、スッキリした気分で営業場に戻ると、「それ、銀行合併前の粗品だよね? よくそんなもの見つけたね」と、驚く先輩たち。
「え? たまたま古い在庫が会議室にあったのかなって」と、伝えると先輩たちの表情は一変!
「あの会議室で見つけたの!?」と、ザワつく事態に……。

泣いている私を気遣ってくれたのは……

実は、転勤してきたばかりの私は知らなかったのですが、この支店では「会議室のそばで幽霊を見た」という噂があるそう……。その話に一瞬ゾッとするも、「泣いている私を気遣ってティッシュを置いてくれたのかな」と思うと、優しい幽霊に心がほっこりした出来事でした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:島田歩実
元銀行員として、女性のキャリアやお金にまつわるあれこれを執筆中。アメリカへの留学経験もあり、そこで日本社会を外から観察できたこともライターとしての糧となる。現在はSNSなどを介してユーザーと繋がり、現代女性の声を収集中。

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