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身近な人を見送る時、残された家族の想いがすれ違うことは少なくありません。その結果、本人の意思を尊重できなくなってしまうことも……。今回は、私が体験した忘れられない不思議なエピソードを紹介します。

祖母からのお願い

実家の祖母が入院先の病院で静かに息を引き取りました。容態が急変してすぐ「おばあさん、きっと最後にあなたに会いたいと思う」と、遠方に嫁いだ叔母に連絡したのですが、「お母さんを看取るのは怖いから……」と最後の別れを拒否。結局、私と母が最後の瞬間まで祖母を見送ったのです。

そして悲しみの中、葬儀の準備が始まります。生前から「私が死んだらこの写真を遺影にしてね」と私に頼んでいた祖母。私は祖母との約束を守ろうとしました。

叔母の強い主張

次の日、訃報を聞いて帰省した叔母は、葬儀の準備中に「この写真の方がいい」と祖母の遺影を自分の希望するものに変えようと強く主張してきたのです。しかし私には祖母との約束があるので、「おばあさんから頼まれた写真を使いたい」と説明しても、聞き入れてはくれません。

届けられた遺影は

その日の午後、葬儀屋が持ってきた遺影は、なんと叔母が選んだもの。どうやら私たちが慌ただしく動いている間に、叔母が直接葬儀屋へ頼んでしまったようなのです。納得のいかない気持ちを抱えながらも、その場ではどうすることもできませんでした。

叔母が見た夢

ところが翌朝、叔母の態度が一変。沈んだ様子で「やっぱり遺影はそっちにしましょう」と言い出しました。理由を聞くと、昨夜祖母が夢に現れたとのこと。

「遺影はヒロコ(私)に頼んでいたのに、勝手なことをするな! 葬式はこの家の家族に任せて、あんたは大人しくしていなさい」と、烈火のごとく怒られたというのです。夢の中の祖母はとても迫力があり、叔母は逆らう気持ちを失ったようでした。

約束を守るということ

すぐに葬儀屋に連絡し、祖母が望んでいた写真に差し替えてもらいました。祭壇に飾られたその写真は、祖母らしい穏やかだけど凛とした笑顔。

亡くなった後でも、強い思いは残され、私たちに伝わってくるものなのだと実感しました。生前に交わした約束や願いをきちんと守ることが、残された家族に課せられた大切な役割なのかもしれません。

【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。

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