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薬局で働いていると、常連さんとのやり取りも日常の一部になります。ある日、顔なじみの患者さんから突然届いたのは“怒りの手紙”と販売しているお菓子の空袋。今回は調剤薬局事務の女性・香織さん(仮名)が体験した、ヒヤッとしたクレームエピソードをご紹介します。

常連さんのお気に入りは、薬局のお菓子

毎月、近隣の病院に通院している50代の女性が薬を取りに来られます。その方は薬だけでなく、薬局で販売しているちょっとしたお菓子を楽しみにしてくださっていて、来局のたびに購入されていました。

「通院は億劫だけど、このお菓子があるから少し楽しみになるのよ」と笑顔で話される姿に、私たちスタッフも温かい気持ちになっていました。

突然届いた怒りの手紙

その患者さんから、ある日突然、薬局宛に手紙が届きました。内容は「先日購入したお菓子の賞味期限が切れていた。ありえない!」というもの。さらに、お菓子の空袋まで同封されていました。

同封されていた商品の賞味期限は、確かにすでに切れていました。しかし薬局では、食品の賞味期限管理を徹底しているため「そのようなことが起こるはずはない」と感じました。とはいえ、まずは事実確認を行うことが必要だと考え直し、感情的にならず冷静に対応するよう心がけました。

売り上げ記録から見えた真相

早速、患者さんの来局日をもとに売り上げデータを確認。ところが、その日に該当のお菓子の購入記録はなく、実際に買われていたのは“同じシリーズの別商品”だったのです。

確認のため患者さんへ直接お電話で状況を伺いすると、意外な事実が判明しました。購入したお菓子は自宅で一箇所に保管されており、今月購入したものと数か月前に購入したものが混ざってしまっていたのです。その結果、賞味期限切れの商品を“今月買ったもの”と勘違いされたようでした。

患者さんからは、電話口で「勘違いしていてごめんなさい」と謝罪されました。

勘違いは誰にでもあるからこそ、丁寧な対応を

後日患者さんが改めて来局し、「本当にごめんなさい」と謝ってくれました。長年利用している薬局だからこそ、誤解が解けたことに安心したようですが、少しバツが悪そうなご様子でもありました。

今回の件で、理不尽に強くあたられる瞬間は正直つらかったですが、誰しも勘違いはあるものです。だからこそ、クレームがあったときには、まず売り上げ記録や商品を確認し、根拠を持って丁寧に説明することの大切さを改めて実感しました。事実確認と冷静な対応があれば、誤解はきちんと解けるのだと学んだ出来事でした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。

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