Sサイズにこだわった女性客
ある日、とある雑貨屋さんでの出来事です。
店内には文房具や小物、収納ケースやバスケットなど、暮らしを彩る生活雑貨がずらりと並んでいました。買い物かごを手に取るお客さんたちは、思い思いにお気に入りを探しながら歩く光景。
そんな中、ある女性客が大量の雑貨を抱えてレジにやってきました。両腕に積み上げた商品は抱えきれないほどで、息を弾ませながらも、堂々とした様子。「Sサイズのレジ袋を1枚ください!」その言葉に、店員は思わず目を瞬かせました。
袋に詰め込む、限界ギリギリチャレンジ
店員さんは丁寧に提案しました。「えっと……Sサイズは小物用ですので、Lサイズの方がよろしいかと思いますが…」普通なら納得するはずの場面。
しかし、女性は首を横に振り、きっぱりと言い張ります。「Sサイズで大丈夫なんで!」
受け取った小さな袋に、山のような商品を無理やり押し込む姿は、周囲のお客さんも目を丸くするほどの光景でした。
袋破れと大胆行動
案の定、袋は耐えきれず破れ、小物が床に散乱。ガシャンという音が店内に響き、空気が一瞬止まりました。慌てて駆け寄った店員さんに、女性はあっけらかんと一言。「すみません、セロハンテープあります?」
そのマイペースさに、店員さんもお客さんも思わず顔を見合わせます。女性は受け取ったテープで破れた袋を大胆に補強し、満足げに「ほら、これで大丈夫」と宣言しました。
しかし、事態はそれだけで終わりません。「一旦車に置いてくるので、この収納ケースをここに置かせてください!」
店内の通路に商品を置きっぱなしにする大胆さに、周囲のお客さんは進路を塞がれ困惑。店員さんは頭を抱えるしかありませんでした。
店内騒然の結末
その後、女性は何往復もして商品を車に運び出しました。最後までSサイズの袋にこだわり、セロハンテープで補強した袋をぶら下げて去る姿は、どこか堂々とした印象。
残された店員さんとお客さんは、ただ唖然とその背中を見送るしかありませんでした。周囲の迷惑を顧みず、レジ袋をケチる女性に感じた恐怖。
その日、雑貨屋さんに残ったのは、困惑と驚きの光景だけでした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:miki.N
医療事務として7年間勤務。患者さんに日々向き合う中で、今度は言葉で人々を元気づけたいと出版社に転職。悩んでいた時に、ある記事に救われたことをきっかけに、「誰かの心に響く文章を書きたい」とライターの道へ進む。専門分野は、インタビューや旅、食、ファッション。

