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コンビニエンスストアよりも調剤薬局の数が多いこの時代、薬局の名称も十人十色です。
今回は、そんな薬局の名前が原因で起こった勘違い事件について紹介します。筆者の元同僚薬剤師(40代)からお話を聞きました。

はじまりは、ある問い合わせ電話

今から数年前、結婚前に勤めていた調剤薬局での出来事です。
薬局には日常的に、お薬についての問い合わせ電話がかかってきます。患者さんの疑問にお答えするのも大切な業務のひとつ。丁寧な対応を心がけています。

この日電話をかけてきたのは、 Eさんと名乗る年配の女性。
用件は「市販薬と定期薬の飲み合わせを確認してほしい」というものでした。

やりとりの違和感

Eさんは外出中で、普段飲んでいるお薬の名前が分からないご様子。そのため、レセプトコンピューターを使って患者情報を探します。
しかし、名前や生年月日で検索しても、Eさんの情報は一切出てきません。
不思議に思いつつ原因を探ることにしました。

もしかすると、Eさんのかかりつけ薬局は他の所かもしれません。そのことを伝えると、電話口でEさんはこう言いました。

「そんなはずはないわ。だってそちらは洋ナシの名前がつく薬局でしょう?」

確かに、私の勤める薬局の名前は「洋ナシ薬局(仮名)」です。
Eさんは間違ったことを言っていません。
彼女は「ほぼ毎月かかさず通っているから登録があるはずだ」と主張します。

薬局名の認識は一緒なのに、患者情報は見つからない。「どういうこと……?」と、お互い頭の中がクエスチョンマークでいっぱいになりました。

同じだけど、別物でした

そしてついに、事件の真相が分かりました。
実はEさん、薬局名をうろ覚えだったために、日本語名と英語名を取り違えていたのです。

「洋ナシ」を英語にすると、読み方は「ペアー」です。
そう、Eさんが普段利用する薬局の名前は「ペアー薬局(仮名)」で、うちとは縁もゆかりもありませんでした。

勘違いする気持ちは分かる

Eさんの情報をもとに、確認を取りながらペアー薬局の連絡先を探し出します。
そして、かかりつけの方がEさんのお薬や症状に詳しいだろうと判断し、そちらに電話をかけ直すよう促して、この一件は終わりました。

紛らわしい名前が引き起こした、まさかの勘違い事件でした。

【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:S.Takechi
調剤薬局に10年以上勤務。また小売業での接客職も経験。それらを通じて、多くの人の喜怒哀楽に触れ、そのコラム執筆からライター活動をスタート。現在は、様々な市井の人にインタビューし、情報を収集。リアルな実体験をもとにしたコラムを執筆中

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