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会社には、いつの間にかできてしまう“暗黙のルール”があります。誰も口には出さないけれど、皆が従わざるを得ない空気……。これは、私の職場で実際に起きた出来事です。新人社員の一言が、そんな理不尽なルールを鮮やかに打ち破った瞬間でした。

お菓子横取りがお約束のお局さん

私が勤める会社には、頂き物のお菓子があると必ず真っ先に一番いいものを取る“お局さん”がいます。

誰も意見できず、周囲は気をつかって黙認するしかありませんでした。そうしているうちに、それが当たり前の風景、つまり“暗黙ルール”になっていたのです。

新人が受け取ったお菓子とお局さんの指示

ある日、取引先からお菓子の詰め合わせをいただきました。対応したのは、入社したばかりの後輩のWさんです。

Wさんは丁寧にお局さんへ報告しました。「皆さんで分けるようにと言われたので、配布してもいいですか」

お局さんは、「うん、お願い! 偉い人から順番に配ってね」と答えます。

その直後、お局さんは私にウキウキした様子で声をかけてきました。「〇〇会社さんから〇〇のお菓子もらったんだよ〜。楽しみ〜」

どうやら、当然自分が最初に受け取れると信じて疑わないようでした。

まさかのスルーと鋭い一言

Wさんは、お局さんの言葉通りに偉い人から順番にお菓子を配り始めました。部長、課長、係長、……と続いていく中で、なぜかお局さんだけはスルーされていきます。

「ちょっと! あたしのは?」お局さんは腕を組み、眉をつり上げて新人を睨みつけました。その声はフロアに響き渡り、周囲の空気が一瞬凍りつきます。

しかしWさんは慌てることなく、真顔で淡々とこう返しました。「偉い人から配っています!」

実は、うちの会社は肩書のついた若い男性社員が多い職場です。お局さんは役職を持たないため、新人であるWさんからすれば“指示通りに肩書のある人へ配る”のは自然な流れでもありました。だからこそ、この返答は筋が通っていて、誰も言い返せなかったのです。

新人の一言が職場を変えた瞬間

その一言に、お局さんは一瞬固まりました。みるみる顔を赤らめ、口を開きかけては閉じ、やがて気まずそうに視線をそらして自分の席に戻っていったのです。表面上は誰も何も言いませんでしたが、心の中では全員が「よくぞ言った!」と喝采を送っていました。

その日をきっかけに、職場に長年はびこっていた“お菓子横取りの暗黙ルール”は、少しずつ崩れ始めていったのです。

【体験者:30代・会社員、回答時期:2023年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:北山 奈緒
企業で経理・総務として勤務。育休をきっかけに、女性のライフステージと社会生活のバランスに興味関心を持ち、ライター活動を開始。スポーツ、育児、ライフスタイルが得意テーマ。

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